暁 〜小説投稿サイト〜
なりたくないけどチートな勇者
34*お姫様の苦悩
[1/7]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
〜エリザサイド〜



……私は今、とてつもなく困っている。

今、この場所にいるのは母様、リリスさんにミミリィとシルバ、そして私である。

私達は、皆で食後に女性だけのお茶会を話しをしながら楽しんでいるのだ。
この血のように紅いムリュヌ茶も、サクサクしっとりしたお茶うけのググの焼き菓子も、どちらも美味しく申し分のない最高級の代物である。

では、なぜ私が困っているのか。
別に高級な物を食べるのに気が引けるとか、集まった者達に対する緊張とかは全くない。

むしろ王女である私からしたらもはや当たり前なのだ。

なのだが……その集まった面子での会話が問題なのである。

「やはり誘惑する時は彼の好きなお酒を用意して、甘えながらお酌をするのが一番よ」

「そしてそれに少し薬を入れたりすると、なお効果的ですわよね」

「薬って……あの、リリス様。それはちょっと……」

「お母様、どんなお薬が一番いいのですか?」

「……シルバ、まさかやる気じゃないだろうな?」

これである。

シルバとリリスさんはまぁわかっていたが、まさか母様までそっちの部類だとは思っていなかった。

とゆうかもう内容が『愛しい彼氏を上手に落とす方法』から『愛しい彼氏を上手に暗殺する方法』へとすり替わってる気がしてならない。

今までシルバとナルミの関係を面白がって助長していた弊害が、こんな形でくるとは……
これからナルミに対して少し優しく接した方がいいかもしれない。

「……リリスさんも、それはさすがに駄目でしょう。下手をしたら死にますよ?」

「あら、大丈夫よ。私達は16歳から25年間、ガルクにそれをやってきたけどきちんと生きてるわよ?ねぇ」

「そうよエリザ。女は待つだけじゃ駄目なの、自ら行動しなくちゃね。薬くらい、手段の一つよ。それに若い時からやって慣れさせていけば、今やっても問題はないわ」

………え?

「ちょっと待って下さい母様!まさか今も父様へと薬を盛ってる訳では……」

「大丈夫、今はしてないわよ」
「そ、そうですか……よかった……」

とりあえず、過去にあった事は目をつむろ……

「最後に盛ったのは半月も昔よ。あの時はこの歳で久しぶりに気持ちが高ぶって、一年ぶりに使ってしまったわ」

……思わず身体が硬直した。
まぢですか母様。

「ひ、姫様……これは……」

「言うな、ミミリィ。わかってる……ハァ………」

「……先生いわく、ため息をつくと幸せが逃げるらしいですよ」

「それ、私も聞いたが、つかずにはいられないぞこの状況」

「……がんばりましょう」

そうミミリィが言って手を差し出してきたので、私はそれをしっかりと掴む。

仲間がいるのは、
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ