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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-17商人の町へ
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らな。」
「そうよ!子供は、守られてて、いいのよ!ユウちゃんは、きっといつか、あたしたちなんか問題にならないくらい、強くなるのだろうけれど。それでも、全部を()()う必要なんて、ないのよ。」
「……そう、なの、かな」
「そうです」
「そうだ」
「そうよ!」

 それでも、もしも。
 もっと早く、旅に出ていたら。

 そうしたら、村はあんなことにはならなくて。
 自分が、勇者が死んだことにはならなくて。
 旅に出た自分には追手(おって)がかかり、もっと危険な旅になっていたかもしれない。
 それでも、みんなは、死ななかったかもしれない。

 でも、もう。
 起きてしまったこと。
 終わってしまった、こと。

(……(なげ)いても。みんなは、戻ってこない)

「……そう、なの、よね」

 それは、わかっても。
 村のみんなの、今ここにいるみんなの。
 大人たちの心配を素直に()()れるには、起こった出来事が重すぎた。
 自分の行動ひとつで、なんとかできた可能性が、見えてしまうから。
 全ては、自分のために――それが世界のためだとは言え――起こったことだから。

 それでも、過去は(くつがえ)らない。

「そう、ね。」

 覆らない過去を、(なげ)く姿を見せて。
 目の前の人たちまで、悲しませることは無い。
 世界にとっては救いとなる存在だったとしても、近くにいれば逆に不幸を(もたら)すかもしれない、自分を。
 実際に、(もたら)してしまった、自分を。
 心配してくれる、一緒にいてくれる、優しい人たちを、悲しませたくは無い。

「ごめんね。わたしは、大丈夫。もう、行こう」

 無意識に(なげ)きを押し込めて、少女は微笑む。
 それがかえって痛々(いたいた)しさを()すことにも、気付かずに。

「ユウ……」
「ユウ、ちゃん……」
「……行こうぜ。こんなとこで、話し込むようなことでも、ねえだろ」
「……そうだね。すぐに、飲み込めるわけも、ないね」
「……そうね。それじゃ、行きましょう!」
「うん。行こう」


 魔物を退(しりぞ)けながらさらに進み、ミントスの町に到着した。

 商人志望のホフマンが盛り上がる。

「ここが!商売の神様と言われる、ヒルタン老人のいる、ミントスですね!」
「そうね。海に詳しいお年寄りの、ヒルタンさんね。」
「どこにいるんでしょう!早く、お話を聞いてみたいですね!」
「そうねえ。伝説の武器のことも、なにかご存じかもしれないものね。」
「まずは、宿を取りましょうか。少し早いですが、他に行くには遅いですし、馬車を連れていては動きにくいですから」
「そうですね!ここの宿も、ヒルタン老人の持ち物だ
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