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剣の丘に花は咲く 
第八章 望郷の小夜曲
第一話 ゆ、夢?
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ているだろうがっ!! ええいっ! 桜の考えは分かるが!! せめてそういうのは士郎にだけだせっ!! 平然と食卓に並べるんじゃないっ!!」
「もう……そんなに興奮しないでもいいじゃないですか。仕方ありませんね。なら氷室さんたちも一緒にまざりますか?」
「「「「何でそんな話になるんだッッ!!?」」」」

 桜のマイペースな発言に、その場にいる気絶した三枝の以外の全員の声が響く。

「こ、ここにいる全員って何考えてんのよ桜っ!!」
「ああ、あんた色ボケ色ボケ思っていたが、もうそんな話じゃねえっ!! 淫獣じゃお前はっ!!」
「いくら何でもここにいる全員はないだろうっ!! 何を言っているんだ君はッ!!」
「そうですっサクラっ!! 人が多過ぎるとその分取り分が減ってしまいますわっ!!」
「「「そう言う話じゃないだろっ!!」」」

 ぎゃあぎゃあと騒がしくなる中、自分を落ち着かせるように小さく溜め息を吐いた凛は、後ろを向いてそこに居るはずの士郎に事態の収集を放り投げようとしたが、

「……あれ、士郎は?」
「「「「え?」」」」

 そこには誰の姿がなかった。













「もうっビックリしちゃった。シロウの家に行ったらあんな騒ぎになっているなんて……でも、相変わらずモテモテねシロウ」

 まな板の上の鯉のように、転がっていた士郎を助けたのは、今士郎も前をくるくる回りながら歩いている、銀色の髪を陽光に煌めかせながら朗らかに笑う少女だった。
 士郎を救出した少女は、そのまま士郎を家から連れ出し、今は青空が広がる下を歩いている。

「いや、本当に助かったよ。あのままだったらどうなっていたことか……」
「んふふ……でも、実は助からない方が良かったかもって思ってたりして〜」
「言ってろ」 

 ん〜? と上目遣いで見つめてくる少女に、士郎ははぁと溜め息を付きながらも苦笑を浮かべる。
 少女はそんな士郎の様子を見てクスクスと小さく笑うと、くるりとスカートを翻しながら士郎に向き直った。

「んっふっふ〜……本当かなぁ?」
「本当だって言ってるだろ―――イリヤ」






「で、どうしてあんな事になっていたのよ?」
「あ〜……それはだな……その……何というか?」
「何というか?」

 無邪気な笑顔で見上げてくるイリヤに、口ごもる士郎。士郎の様子に眉根を寄せて考えるイリヤだったが、家から脱出する際に聞こえてきた怒声の内容を思いだし、無邪気な笑みを苦笑に変えた。

「あ〜……もしかしてサクラがまた何かやったの?」
「……ああ」
「そっか……なら仕方ないわね。それじゃあ、家に変えるのは時間が必要ね」
「そうだな。落ち着かない内にあの家に戻るのは正直ゾッとしないな
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