第五十一話
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た。
避け切れず思わず槍の柄で防ぐが、真っ二つに柄が切断され、勢い余った刃が鎖帷子すら切り裂き、俺の腹部に浅くは無い傷を付ける。
奴を見やると、もうその左手には危険極まりない槍が握られている。
……これじゃあ【本物の】グングニルと変わらないじゃないかよ!
傷は痛むが、奴は余裕ぶっているのでそこに付けこむ隙はきっとあるはずだ。
……次に放たれた致命の一撃は、地に伏している遺体を盾にして防いだが、やはり勢いを殺し切れず浅い傷を受け、新たな痛みに顔を顰めた。
状況は絶望的だが、諦めるな……
「それ以上好き勝手はさせないよ!」
馬蹄の響きと共にブリギッドの声が聞こえ、彼女は馬を走らせながら一射、その馬から身を翻らせながら空中で一射したのはトラバントの致命の一撃で馬が犠牲になったからだ。
地面を転がり起き上がってからさらに一射を加え、俺も折れて半分になった槍を投げつけたが穿たれた傷に激痛が走る。
「小僧、命拾いしたな。 せいぜいその命、大事にすることだ!」
トラバントが去ることによりなんとか命拾いした俺は、彼女に礼を言うと剣帯から鞘ごと剣を外すと杖代わりにして歩きだそうとしたが、彼女は肩を貸してくれたので遠慮なく甘えることにした。
「あんなオマケが居たとはね……まずは、街に戻ろうか。 敵は引いていったけど……」
言葉を途中で濁らす彼女に深く追求せず、俺は懸命に足を動かした。
途中、徒歩で俺の援護に向かいに来てくれた者達に礼を述べ、城門へ辿り着くとベオウルフ、そして久しぶりのヴォルツの姿があった。
俺の姿を認めると駆け寄ってくる姿があった。
泣き腫らしたように目を真っ赤にした彼女は、俺の側にくずおれるようにしゃがみこみ、わんわんと泣きわめきだした。
「大丈夫、生きて戻ったから」
「……ごめんなさい」
ヴォルツもベオウルフもブリギッドも沈痛な表情を浮かべた。
「……あたしのせいで、あたしのせいでレイミアが!ごめんなさい、ごめんなさい……」
いったい何があったというのか………
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