第五十一話
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トドメを差して行き、猛った復讐心を満たしていった………
追撃戦のさなか、深追いの危険性を考えて足を止め、注意を促す声を周りにかけ、全体を止まらせた。
すると、俺の前方数メートルほどに投槍が何本も突き刺さり、軽く地面が揺れた。
はっとして頭上を見上げると黒い点がいくつも、視認出来る距離には十騎余りの竜騎士の姿があり、次々と投槍を投げつけて来た。
「城門まで引けー! 敵の増援だ!」
俺は枯れんばかりの声で叫び、敵の注意を引きつけようとした。
すると俺をめがけて幾本かの投槍が投げこまれたが、後ろを向いて逃げ出したわけではないので転がったり、槍ではたきおとしたり、敵の遺体を盾にして防ぎ続けた。
投槍を投げ尽くした飛竜から戦場を離脱していったが、それでも一騎の竜騎士が旋回を続けている。
少しずつ後ずさりながら城門を目指し、弓箭隊の射程に引きずりこもうとしたが……
急降下してきたその一騎、風圧で巻き上げられたこまかな塵や砂に目をやられないよう細め、それでも状況を注視し続けると……
「……こんな所で出会うとはな。 忘れはせぬぞ!レンスターの小僧!」
「お前は……トラバント!」
「仕事は終わったが……こんな余録があるからこそ戦場は面白い」
「……おい。 仕事が終わったなら俺に雇われる気は無いか?」
駄目もと、もしくは時間稼ぎというやつだ。
トラバントは手綱らしきものを残った右腕の二の腕に縛りつけ、それで操っているのだろうからたいした技量だ。
鞍に幾重にも巻かれた革紐で自身を結び、騎竜とは一蓮托生の覚悟が読み取れる。
………左手には、あの時と同じ神器、グングニル。
「戯言を……雇い主を選ぶ眼力くらいは備えている」
「そう言うな、あの時は互いの巡り合わせの結果に過ぎない。 おぬしとて、トラキアの民の腹が膨れるなら、つまらないしがらみに目を瞑る度量は持ち合わせているはず」
「ふん………知ったようなことを。命乞いならもう少し殊勝な態度をすべきだな」
「殺るつもりなら、とうにその槍で俺を串刺しにしてるだろう?」
奴は手綱を操ると飛竜を少し浮かせ俺をねめつけた。
「甘く見るなよ小僧、いつでも貴様ごとき片づけられると思ってのことよ!」
そう言うが早いか左手に輝く恐怖の先端を俺に投げつけた。
間一髪、避けることが出来た!
これで奴の攻め手は消えたどころか、神器を失うことにすらなりかねんはず!
勝ったと思い、奴を見るとその左手には……グングニル? が? 刺さったはずの場所を慌てて見やると、大地には穿たれた穴が開いていただけだった……
「よくぞ避けた! だが、次はどうかな」
奴はそう宣言すると、再び俺に投げつけ
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