第五十一話
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た打撃の衝撃に吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。
槍を手放し、夢中で腰から引き抜いた剣で次の一撃を受け止めることが出来なければ……命が無かっただろう。
いや、ほんの僅か死ぬ迄の時間が延びたに過ぎない……
諦める訳には行かないと睨みつけると、俺と、この危険極まりない相手の間に矢が間断を置かずに撃ち込まれた。
この援護を利用して立ち上がり、肚に力を込め、雄たけびを上げると、相手は斧を投げつけた。
………狙いは俺では無く弓箭隊だったようで、凄まじい音が城壁から聞こえた。
それに注意を奪われた一瞬の間に剣を拾い上げた相手は、まだ息のある仲間を担ぎあげ後退して行く。
「詰所に戻って鎧を替えてきな……浜で使った奴があるはずだよ! ……ベオ! ミュアハの後退を援護!」
カバーに入ってくれたベオウルフにいったん城門前を任せると、彼女の指示に従って城内に戻った。
アジトに戻り、武具置き場の箱から鎖帷子と革の胸当てと肩当てを引きずりだした。
手入れが少し遅れたせいか赤錆が所々浮かんだ鎖帷子だが、用を為せばいいと割り切り、支援員に先程の戦闘で受けた打撲の治療を手伝ってもらい……シルヴィアの姿が見あたら無いので尋ねてみると、城門近くに設営された野戦病院へ手当ての手伝いに向かったと話に聞いた。
……情報には礼を述べたが、心の中で舌打ちを禁じえない。
野戦病院に居るというならとりあえずは安心だろうと、俺は彼女の所在を頭から切り離し、再び城門前に戻った。
城門前には守備隊の副長と、あと数人が敵を防いでいた……
「レイミアとベオウルフは?!、あぁ、うちの士官です、ここを守っていた……」
「西のほうに取り残された部隊が居るので救援をお願いしました……申し訳無い…」
無数の浅傷を負った彼は苦しそうなので下がるように伝えると首肯してくれたので、ひとまず、俺を中心にレイミア隊の残りで城門前の守備に就いた。
敵が押し寄せる勢いは先程より弱まったと感じたが……、気を抜けば一気にここを抜かれるだろうと思うと一瞬の油断さえならない。
敵軍の中からざわめきが聞こえたと思ったところ、遥か前方のほうから煙が幾筋も立ち昇っていた。
……潜入させていた者達が輜重隊に火でもかけてくれたのだろうか。
浮足立った敵兵は撤退の声を聞いて及び腰になりながら後ずさっていった。
なんにせよ、ここは攻め時に違いない。
「敵の後方から火の手が上がって大混乱している! 動ける者は俺に続け!」
そう号令をかけると、守備隊の者も一丸となって引き上げて行く敵兵を次々と討ちとっていった。
弓箭隊の攻撃を受けてバランスを崩したり、倒れた者へ容赦なく
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