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形而下の神々
過去と異世界
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ンシェは即座に言い放つ。

「じゃあ、軽い爆弾に混ぜるとかはどうだ? 自分から血液を抜いて、爆弾に込めりゃ良い。そしたら分散するから対象には勿論、他の物にも付いて効率よく血液が撒けるぞ?」

「おぉ〜」

 俺が感嘆の声を上げると、グランシェは興に乗って来たのか得意げに第二の案を出してきた。

「爆弾が難しいなら石ころでも良い。石ころに新鮮な血を付けて投げれば敵にも血が付くんじゃないか?」
「確かにそうかも……」


 流石はグランシェ。戦闘のプロは考え方が違う。

 と、そうこうしている間に他のレミングス達は出発の準備に取り掛かり出した。とうとうもうすぐ第一の目的地、イベルダに到着するのだ。

「さ、タイチ、グランシェ、最後の旅の準備は良いか?」
 サンソンが快活な笑みをこちらに向けて言う。レミントとレベッカは既に出発して、イベルダで戦利品を売る準備をしているとのことで、結局はここに来てからの一番の恩人達には別れすら言う事が出来なかった。

「ああ、いつでも出られるぞ」
 少し寂しいが、俺は元気を出してサンソンに笑い返す。そして、力を込めて大きく一歩、赤の街へと踏み出した。





 イベルダに着くと、レミングス達は使わない戦利品や旅した各地の特産品を街のあちこちに売りに行った。別れは案外あっけないもので、まるで皆が「じゃあ、また明日」的な雰囲気だった。これが旅をする宿命を背負って産れた種族の当たり前の別れなんだろうが何だか寂しいなぁ。

 サンソンだけが俺達とツバサ達を情報屋へ案内すると言ったのだが、どうやらツバサ達はここに来たことがあるらしく結局は彼女達に案内してもらう事になった。


「ところで情報屋ってどんな所なんだ?」

 俺は素朴な疑問をツバサにぶつけた。

「情報屋にはラクリーという神器があって、その神器は各地の情報屋の支店と繋がってるんです。 で、それぞれの支店に色んな人が情報を売りに来て、情報屋はそれを整理し、管理する。
あとはその情報を欲しがってる人が来たら、ラクリーを通して情報を取り出し、お客様にお金と引き換えで情報を渡す。そういう場所です」

 情報を受け渡しする神器ラクリー。要するにインターネットみたいなものか。

 というか公式や神器を作るための計算技術や科学技術は物凄いのに、何故文明が発達しないのか不思議だ。
 神器やら公式やらにたよらなくても、これだけ頭の良い世界ならもっと楽な暮らしもあるだろう。

 つくづくおかしな世界だ。ファンタスティックさから言って、何だかゲームみたいだな。
 しかし、そんな世界にも少し慣れ、また楽しくも思えて来ている自分も居た。もう自分のポジティブさに感謝だな。

「君達は何を調べに来てたんだ?」

 
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