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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第2話 歓喜する魂
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込む。
 しかし、“私”はそれでも、何の感情も動かさない。スグの整った顔が歪んだ。
「何がモミを苦しめているの!? 何がそうさせているの!? ……やっぱりあたし、分かんないよっ! ちゃんと教えてよ!!」
 ハラリと舞った雫が、私の頬を濡らした。苦痛に満ちた、絞り出すような声が落ちてくる。

「3人で笑っていたあの頃に、戻りたいよ……っ!!」

 肩を掴む両手が、フルフルと細かく震えていた。私は短くため息を吐き出すと、そっとその手を降ろさせる。
「――――スグ」
 俯き加減だったショートヘアの少女が、ビクリと体を跳ねさせた。恐る恐るといった風に、顔が上げられる。
「スグ」
 赤くさせた両目が、私の両目とぶつかった。瞬間、悔しそうな、何かを察して諦めたような、それでいて縋るような――――、そんな感情が複雑に入り混じった面持ちになる。
 私は息を吸うと、目を細めて冷たく言い放った。
「スグ、学校へ行きなさい。もう予定時刻をとっくに過ぎているはずよ」
「モミ、あたしは……」
「行きなさい。私は、やるべき事を全うしない人間とは話したくないわ」
「……うん、分かった。ごめんなさい」
 さっと顔ごと視線が外された。一言も発さないまま、背を向けて部屋から出て行く。
 バタン。その乾いた音が、この空間を淡い光から完全に切り離した。途端、重い空気が体に圧し掛かってくる。
 ――――私は、先へ進まなければいけないのだ。
 大多数の人間と大きく考えが違っていようが、私には関係ない。奇妙に見られても、疎まれても、嘲笑されても、私は別に構わない。何とでも言えば良いのだ。
 机の隅に置かれた黒いノートパソコンを見やる。自由に動けなくなった私のために、両親が買い与えてくれたものだ。元々インターネットにはあまり興味が無かったが、せっかく気を使ってくれたのだからと、私はネットで色々な情報を見るようになった。
 そうしてしばらくたった頃、あるゲームの名前を再び目にしたのだ。
 剣の世界――――≪ソードアート・オンライン≫。
 それは、私がモンスターのデザイン案を提供したゲームだった。
 ゲームなどには一切見向きもしない私だが、この時は違った。忌々しい出来事も思い出すことになったが、どんな作品に自分のイラストが使われたのか気になり、ゲームの紹介をしていたブログのリンクから公式ホームページへ飛んだ。
 そして私は、衝撃を受けた。
 この世界の中で、生活出来るということに。
 ――――“生きる”ことが出来るということに。
 生物学上、私は生きている。けれどもう、私にとってこの体は死んだも同然だったのだ。
 川に落ちた一枚の葉のように漂い、いつか朽ちるのを待つ存在。
 私の事を支えようとしてくれた人はもちろんいた。しかし、存在しても良い場所も
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