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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第2話 歓喜する魂
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を輝かせて言った。
「紅葉お姉ちゃん、どこにもいなくならないでね! 約束だよ」
「……ええ、もちろんよ」
どうか、掠れそうになった声に気付かれませんように。
*
私は神も運命も信じていない。
けれども、私が交わす約束とは真逆に突き進むように運命が出来ているのではないかと、本気で思えてくる。
……ここまで来ると、そう考えてしまうのは仕方がないというものではないか。
馬鹿馬鹿しいと一蹴出来なくなってくる。
その日、ゲームの世界はゲームでは無くなった。
憤怒、憎悪、悲嘆、畏怖、焦燥、自棄、絶望、後悔、困惑、諦念……、そんな負の感情が2つの世界を同時に覆い尽くしたのだ。あらゆる者がそれに飲み込まれ、衝撃のあまり言葉を忘れる人々が多くいた。
けれど私はその中でただ一人、笑っていた。周りからすれば、“狂気”として受け止められていたかもしれない。突き付けられた現実に狂ったのだと、そう考えた者もいただろう。
しかし、実際は全く違う。正反対だ。
――――歓喜。
“狂気”ではないのだ。もし言うのならば、“狂喜”であろう。
嗚呼、なんて素晴らしいことだろう!
嗚呼、この身を焦がすような喜びは何と言い表せばいいのだろう!
願いは完璧な形で叶ったのだ!
“もう一つの現実世界にしたい”……、これ以上の形で実現することなど不可能なはずだ。“もう一つの現実世界”を実現させるための策は、これの他には存在し得ないはずだ。
――――否、もう“もう一つの”ではない。この世界は、もはやニセモノではないのだ。
ここはすでに、唯一無二の現実なのだ!
この上なく完璧だった。言うことなど一つもない。
私には到底到達出来ない域にあったものを、彼は――――茅場晶彦はやり遂げてしまったのだ。
全身が震えた。
両手を胸に当て、ただ身を震わせた。背中がぎゅっと縮こまる。
私はひたすら愉悦に浸った。体の中が掻き回されているみたいに揺さぶられる。
こんな風に頭へどんどんと血が上り詰めていくような激しい感情は、覚えている限りの記憶を探っても見当たらない。
逆らうことはせず、感情に身を任せた。狂おしいほどの喜びに、湧き上がるこの世界への愛しさに。
……ああ、愛おしい。この世界が愛おしい。
私は笑っていた。
真っ赤な空を――――ローブを纏う巨大な死神を見上げ、笑っていた。
……笑っていた。
けれど、一つだけどうしても不可解なことがある。
頬に伝うこの涙は、一体誰のものなのだろうか?
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