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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第2話 歓喜する魂
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にないほど顔を綻ばせた。私は目を細めて、
「……スグ」
「何?」
「ありがとね」
一瞬、不意を突かれた時のような間の抜けた顔になった。でも、すぐに歯を見せて笑う。
「こんなのお安い御用だよ!」
キラキラと輝く眩しい笑顔。何も変わらない澄んだ表情。
落下していくだけだった“私”の体に、いつの間にか一本の糸が巻き付いていた。
――――それからは、スグと一緒によく外出をするようになった。もしかしたら、事故の前よりも頻繁に出掛けるようになったかもしれない。
本当に、色々な場所へ連れ回された。動物園や水族館等の定番スポットはもちろんのこと、博覧会やプラネタリウム、ミュージカルからクラシックコンサートまで。果てには絶景を望むことが出来るハイキングコースや公園、何百種類もの花が咲き誇る美しい花園にも連れて行ってもらった。
『色とりどりの景色を見て』と言った彼女は、本当にその言葉通りにしてくれたのだ。
一体どこでそんな場所を見つけてきたんだと、首を傾げてしまうほどの情報量だった。しかも私の体の事を考慮してか、完璧にコースを作り上げて。……自分の時間を切り裂いて、私のために。元々パソコン関係は苦手で、学校の授業以外で触ったことなんてなかったはずなのに、必死にローマ字表と格闘して覚えてしまうまでキーボード入力をしていたことを私は知っている。
……ただ、スグには申し訳ないけれど、以前のように楽しいと純粋に心が躍ることは無くなった。どこへ行っても、どんなに美しいはずの景色を見ても、胸に穴が開いているみたいに感情がすり抜けていく。
それはスグも分かっているようで、必死に私を楽しませようとフォローしてくれた。諦めずに、何度も、何度も私を外の世界へ引っ張ってくれた。
――――そのおかげもあってか、気付いた時には車椅子での移動にはずいぶん慣れていたのだ。一人で十分行動出来るくらいに。
ちなみに、短時間の移動ならばロフストランドクラッチ――――前腕部支持型杖とも呼ばれるもので、前腕を通すカフとグリップで体重を支えるもの――――を右手で使用している。だが、外へ行くにはやはり車椅子を使わなければいけない。杖の支えがあるとはいえ右足で全体重を支えなければいけないので、義足の接続部への負担が大きい。よって、長時間の移動をすることには向いておらず、せいぜい家の中だけだ。
しかし、私をこんな風に行動出来るようにしてくれたのは他でもないスグだろう。
彼女には感謝してもしきれない。
「モミ〜、入ってもいい?」
するとそのスグが、声を伸ばしながら軽くドアをノックしてきた。私は浮かべていた笑みを慌てて消し去り、膝の上に乗せていた小ぶりのバッグを机の上へ置く。
「いいわよ」
「はーい」
声と共にドアが開き、中学校の制服を身に付けたス
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