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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第2話 歓喜する魂
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だけでも持っていこうと思ったのだ。
そして二つ目は、私自身が己に科した戒め。この名を呼ばれるたびに痛みを感じて、決して許されない罪を思い知るために。
……とまぁ、二つ目はともかく、幸歌ならきっと一つ目にはすぐに気が付くはずだ。と思っていたのだけれど。
「ええ!? うそ……何? 何かの単語? フランス語とか?」
「さぁ、どうでしょう」
本当に分からないらしく、うんうんと頭を押さえて唸りだした。その姿に心が和む。
続いて伸一の方を見ると、手を顎に当てて考え込んでいた。もしかしたら彼は気づくかもしれない。
「うーん、じゃあ、ゆっくり考えてもらおうかしら。……ちなみに、理由は2つあるわよ」
「もう、いじわるだなぁ。……いいよ、後で辞書使うから」
「頑張ってください」
澄まして言えば、幸歌がむうと頬を膨らませた。まるでハムスターか何かのようだと思いながら見ていると、彼女がぷっと吹き出して笑い出す。伸一もそれに釣られたのか、笑顔を浮かべた。
「あ、ねえねえ、紅葉! ……ううん、キカ! 私たちのギルドに入らない!?」
「ギルドって、……さっき話していた≪月夜の黒猫団≫?」
「そう! みんないい人たちだよ! きっと仲良くなれる。私からみんなにお願いするからさ。……ね、どうかな?」
そう笑顔で誘ってくる彼女を、どこか遠い気持ちで眺めた。
――――幸歌と同じギルド。
それはとても魅力的に感じられた。きっと、幸歌やその友人と共にとても素晴らしい時間を過ごすことが出来るだろうと確信できたからだ。
私は俯き、唇を噛み締めた。
「……とても嬉しい話だけれど……、ごめんなさい。遠慮させてもらうわ」
先ほど再認識したばかりなのだ。私と彼女たちの目的は明らかに違う。どう解釈したとしても幸歌たちのまっすぐな線とは交わることはない。
スタート地点から違うもの同士が真っ向からぶつかれば、どうなるかは目に見えていた。人間関係なんて、少しのすれ違いで、ほんの小さなヒビで、粉々になって跡形もなくなってしまう。どんなに仲がよくても、所詮硝子細工のように脆いのだ。
どちらも“リアル”での友人。優しい幸歌なら選び取ることが出来ず、板挟みになってしまうだろう。
そもそも、私がいつかギルドに入る時がきたとしたら、間違いなく “現実世界”で全く交流の無い人にする。……むしろ、そうでなくてはならない。“桐ケ谷紅葉”を知る人物が、一人でも居てはならないのだ。
「ごめんなさい、幸歌」
再度軽く頭を下げて謝る。ぼうっとしていた様子だった彼女は、慌てた様子で顔の前で両手を振り、
「だ、大丈夫だよ! 私もいきなり過ぎたかなって思っているし、気にしないで!」
「そうそう、そういう事はゲームの中でも相談出来るだろうし! 今はとりあえず、保留ってことにし
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