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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第2話 歓喜する魂
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」
己の手の中にある紙に視線を落とす。
ギルド――――事前にゲームについて調べた時に出てきたワードだ。確かチームのようなものであった気がする。……とすると、たしかにこれらの案は少し微妙かもしれない。高校名が入っていたり、個人の名前らしきものが入っていたり……、これは駄目でしょうと、つっこみたくなるものまである。
しかし、少々呆れながら視線を下に滑らせていくと、目に留まったものがあった。思わずそれを凝視し、気づいた時には声も出ていた。
「≪月夜の黒猫団≫…?」
何か惹かれるものが、この名前のそこかしこにあった。
そろそろと紙からゆっくり顔を上げる。瞬間、幸歌の表情を見て確信した。けれど、確かめる言葉が口から滑り出る。
「もしかして……、あの時の猫のこと?」
「あ、やっぱり分かった?」
「ええ。少し驚いたけれど。……ねえ、リュヌは元気かしら」
「元気すぎて困っているくらいだよ」
あはは、と幸歌は笑う。けれどもすぐに神妙な面持ちになり、少し眉を下げながら心配そうに言葉を発した。
「……ごめん、嫌だった?」
事故に合った日と同じ日だから、と続けなくともそう言いたいのが分かった。だから私は、否定の意をこめて静かに首を横に振る。
「いいえ。……むしろ、嬉しいわ。思い出を大切にしてくれているって分かるもの」
「そ……、そう?」
「ええ、もちろん。……じゃあ私、≪月夜の黒猫団≫に1票を入れるわ。可愛い名前だと思うから」
「ほ、本当!? よかった!」
再び幸歌の周りにコスモスの花が舞う。それは優しい色の花びらで、まぶしさに目が眩みそうになる。けれど私は視線をそらさず微笑みを作りながらその姿を見て、静かに聞いた。
「ところで、そのゲームの名前は何なのかしら」
「≪ソードアート・オンライン≫っていうゲームだよ。今結構テレビとかで騒いでいるやつ!」
「ああ、知っているわ。……それにしても、偶然ね。実は私もやろうと思っているのよ」
「そうなの? 紅葉がゲームだなんて珍しいね。……あ、自分のデザインしたモンスターが気になるとか?」
純粋な質問に、一瞬言葉が詰まった。
“珍しい”。
確かにそうだ。私自身でさえ少し前の己を思えば、そんな道楽に身を投じるなんて奇妙に感じてしまうのだから。……けれど、 “もう一つの世界にしたい”、なんて口が裂けても幸歌には言えない。
ただ純粋に“ゲーム”を楽しもうとしている、彼女には。
……真っ白で美しい輝きを放つ彼らを、醜い色で染めてはならないのだ。
私はぐっと体に力を込める。口にすることは許されないと叫ぶ理性が、ギリギリと“自身”の身を縛り上げた。
ギリギリ、ギリギリ。
かつて“私”を落下から助けた3本の糸が、自重で食い込む。タラリと、どす黒く熱い液体がこぼ
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