暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜我は蟲触の担い手なれば〜
『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.01
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ちだけじゃない。
 実際に夜道を全力で走ってみたときには、まるで冗談のような速度がでた。
 しかも、どこまで走っても体力が尽きない。
 もし、夜中に運動会があれば全部の種目で一等賞を取れるだろう。
 ……夜の運動会。 なんか、響きがエロいな。
 そんな風に考え事をしながら歩いているそのときだ。

「ていっ」
「ぬおおっ!!」

 不意に、首筋をキンと冷えた何かが撫でた。
 堪らず口から漏れた声。 反射的に俺は背後を振り返る。
 振り返った目と鼻の先にあったのは、キンキンに冷やされたコーヒーの缶だった。

「はははっ、まさかそんなに驚くとはね。 悪戯したかいがあったよ、コレは」
「―――桐原先輩!!」

 訴えるように叫んだ名前。
 振り向いた視線の先、背後に立った悪戯者な少女はまさしく桐原先輩だった。

「おはようイッセー君」
「……おはようございます」
「なんだい、随分気の抜けた挨拶だね。 ほら、もっと爽やかに好青年っぽくさ」
「爽やかな挨拶を要求するんだったら、変なイタズラなんかしないでくださいよ」
「別にいいだろう? これくらい、ちょっとしたスキンシップじゃあないか」

 缶コーヒーを手の中で弄びながら桐原先輩がそう言う。
 桐原伊織。 胸元の乏しい駒王学園三年生。 貧乳。
 とあるきっかけで知り合って以来、俺に何かとちょっかいを掛けてくる先輩だ。
 いや、きっかけといっても覗き魔とその被害者というだけの関係だったりするのだが。 

「ふむ。 しかし、君は今日も元気がないみたいだね。
 後ろから歩いているのを見かけたんだが、そこはかとなく体調が悪そうだったよ」
「え? 俺、そんなにふうにみえましたか?」
「まあね。 学園生活もあるんだから、今後は夜遊びも程々にしておきなよ」
「いや。 俺、夜遊びなんてしてないんですけど」
「おや、シていないのかい? いいや、ナニをとは言わないけどさ」
「……先輩。 今、なんかニュアンスがおかしくありませんでした?」
「さて、どうだろうね」

 微笑を浮かべて、ひらりと俺の問いを躱す桐原先輩。
 まあ、この人がこんななのはいつものことだ。
 ……というか、こんな人だからこそ俺みたいな男と気軽に話せるんだろうな。
 そして、桐原先輩は俺と並んで通学路を歩き出した。
 道中、横に並んだ俺たちとの間に交わされる会話。 会話。 会話。
 漫画週刊誌の感想。 新作のゲームの話題。 学園生活のあれやこれ。
 学生らしい、よくある他愛のない話に俺と先輩は花を咲かせる。
 そうしているうちに、どれほどの時が過ぎただろうか。
 気が付けば、既に校門の目の前にまで俺たちは来ていた。
 校門を抜け、学校の玄関へと到着。
 そこには見慣れた二人の
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