第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十四 〜広宗、陥落〜
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城方からの反撃は弱々しく、一気に突破も可能……そう見えてしまう。
だが、攻撃は続けつつも、良く見れば被害を受けぬ距離に兵が留まっている事が見てとれる。
と、その時。
ドーンという音と共に、搦手の門が開け放たれた。
「今だ! 霞、愛紗!」
「よっしゃ!」
「者ども、続けい!」
「応っ!」
満を辞して、我が軍は突撃を開始。
突破力のある霞が先陣を切り、愛紗が立ち向かおうとする賊を確実に仕留めて行く。
そして、正門と西門から、次々に火の手が上がり出した。
「さて。風、ねね。此処は任せたぞ」
「御意ですー」
「了解なのです!」
二人に頷き返してから、振り向く。
「起きたか、恋?」
「……まだ、眠い」
眼を擦りながらも、準備万端のようだ、問題あるまい。
「では、行くぞ?」
「ん、わかった」
かねてから待機させていた一隊の元へ向かう。
皆、いい顔をしている。
「皆、良いな? これで、ひとまずの終止符を打つ」
「応っ!」
中には、元賊の兵も混じっているが、覚悟は見定めた上の事。
一人一人、迷いや躊躇いはない……そう、断じる事にする。
「参るぞ」
「……行く」
陣を大きく迂回し、東門から程近い、森が目印だ。
ここに兵を伏せ、待ち受ける事にする。
さて、後は疾風を待つばかりだが……。
「……来る」
「疾風か?」
「(コクッ)」
城の方角から、一団が此方へと向かってきている。
先頭に疾風が立ち、その後ろに、男達に囲まれた少女が三人。
あれが、恐らくは張三姉妹だな。
「皆、疾風が立ち止まると同時に、奴らを取り囲め」
「ははっ!」
そして。
何人かの賊は抵抗の姿勢を見せたものの、恋の早業に戦意を失った。
三姉妹は、逃げる気力も失せたのだろう。
私と、疾風を睨み付けつつも、大人しく囚われの身となった。
「済まぬな、疾風。憎まれ役を担わせてしまった」
「いえ。これで、終わるのですね……やっと」
「……ああ」
黄巾党の乱は、確かに終息に向かうだろう。
だが、戦乱の日々は、まだまだ続くのであろうな。
と、不意に疾風が蹌踉めく。
「これ、しっかり致せ」
「は、はい……面目ございませぬな」
「いや、本当にご苦労だった。……ゆっくり、休め」
支えた疾風の身体は、相当に軽かった。
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