第五十話
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ず挨拶してくるよ」
「ん、行っといで」
近所の駄菓子屋へ遣いにでもやるような口ぶりで彼女は言うと、俺のことなどすっぱり頭から消えたように部下に指示を出したり衛兵の部隊長と協議を始めていた。
城壁の内側から壁上に登って行く階段側にはいつぞやの弓兵が居て目礼をし合う。
彼は弓箭隊を任されたようで、周りには思い思いの弓や弩を携えた者達が控えていた。
登り切った俺は壁の外側にひしめく客人達に声をかけた。
「何をトチ狂って攻め寄せてきたんだ?招かざる客人達よ、ここは交易の街だ! 疾く去ねぃ! 蛮族どもめ!」
この挑発に、敵側の幾人かが弓に手を掛け、きりきりと俺へと狙いを定めた。
それを制するように現れた大男が手をかざすと、構えた弓を真下に下ろすが狙った視線はそのままだ。
「……涜神の輩どもよ! 銭集めに心奪われ、まことの神をないがしろとする愚か者どもよ! 我々はここに宣言する。 まことの神の正義と恩寵をこの世に実現する先駆けとならんことを! もし、悔い改めるならば城門を開き、我々への帰依を身を以って示すがいい。 さすれば我々と共に王道楽土を目指す資格を与える用意がある!」
おそらくは敵の指導者、リボーの族長トレントその人だろう。
言ってる内容を考えるに、ロプト教に洗脳されていると思われた。
「馬鹿者どもめ! 神様ってのは己の心の中にあるちっぽけな良心みたいなもんで、他人にとやかく言ったり押し付けたりするもんじゃねーんだよ! 悪いこたぁ言わんからとっととお前らの国に帰りな!」
「……あの者を射殺せ!」
その言葉と共に再び弓を掲げた敵兵が容赦なく俺に射かけてきた。
直射された矢は城壁により弾かれるが、弧を描いて打ち込まれたものは盾を頭上に掲げて防いだ。
弓を持たぬ多くの敵は石礫を城壁に投げつけるが……固い壁に阻まれ、意味を為すことは無かった。
「弁舌で正しきを証明できず! 他人の物を力づくで奪い取ろうとする! だからお前らは蛮族なんだよ!」
俺がそう挑発すると、ろくな攻城兵器も持たぬ彼らは怒りを露わに固く閉じられた城門に殺到し、あふれた者は肩車を組んで城壁に乗り掛かってきた。
……満を持して現れたこちらの弓箭隊は城壁に現れるや否や、敵側の弓兵に集中砲火を浴びせ射殺すと、城壁の下に群がる敵兵を次々と射抜き、矢を気にする必要の無くなった俺は、城壁に乗り掛かってきた敵兵を槍で突き殺し、落下した死体は新たな犠牲者を生産した。
こちらの反撃で少なくない犠
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