暁 〜小説投稿サイト〜
おいでませ魍魎盒飯店
Episode 3 デリバリー始めました
ロングディスタンスコール
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の話の盗み聞きなどまさに日常茶飯事なのだが、その分情報収集には長けているらしく、思いつきで雇った割には意外と重宝しているのだか、いまいち信用は出来ないでいた。

「ニャー なんかものすごく評価が低いニャア」
 キシリアの冷たい視線を浴びてなお肩をすくめてぼやくあたり、なかなか太い根性をしている。
 いっそ商売人にでもなれば大成出来たのではないかと思ったが、褒めると際限なく付け上がることを知っているので口には出さない。
 こいつは褒めると変な方向に伸びる子なのだ。

「知っての通り、ボクらはもともと怪盗だにゃ」
 その言葉に騎兵が反応し、腰に差した剣に手を伸ばす。
 その反応も無理は無い……当然ながらこの魔界においても盗賊は犯罪者なのだから。

「おっと、今はキッチリ足を洗ってこうして地道に働いているニャァ」
 掌を前に突き出して悪意がない事を示すが、騎兵はその手を剣の柄から離さない。
 まぁ、相手は盗賊。
 その中でも、怪盗などというもっとも得体の知れない理力の使い手なのだから、警戒されるのも無理は無い。
 キシリアが同じ立場でもきっとそうする。

 とはいえ、このままでは話が進まない。
 仕方が無い……心の中でため息をつくと、キシリアは自分が会話の舵をとることにした。

「で、怪盗に何ができるの?」
 やや興味を引かれた様子でキシリアが声をかけると、マルの後ろから弟のポメがにゅっと顔を出しながらその問いに応える。
 先ほどまではかなり離れた場所にいたはずなのに、いつのまにやってきた?
 しかも、為された会話の内容まで把握しているのが恐ろしい。
 もしたしたら、この三匹は3体一セットの魔物なのではないだろうかと思うことがある。

「ずばり、"取り寄せ"だニャア」
「取り寄せ?」
 なんとなく効果の予想はつく名前だが、そんな便利なことが出来るのだろうか? と、キシリアは顎に手をやって黙考にはいった。
 まぁ、魔法や理力が存在する世界なのだから、物理法則があっけなくひっくり返ることはままあるのだが、現代日本の知識のあるキシリアとしてはどうにも釈然としない。

「そうだニャ。 本来は盗んだモノを別の兄弟のところまで一瞬で送り届ける力だニャ」
 お約束とばかりにポメの後ろから口を挟んできたのは、末弟のテリア。
 なるほど、スリが奪った財布をすぐに仲間に渡し、万が一捕まっても財布を持ってない事で無実を装うやり方が理力として反映されたのか。

 ――理力という力は、その方向性と関連付けされた事象である限り物理法則を凌駕することが可能である。
 まぁ、結局はこじつけの上手い奴ほど理力の使い方に長けているという事だ。

「えらく便利ね。 で、それで料理を砦まで運ぶっていうの?」
 予想していた通り
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