暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-16船出(仮)と慕情
[4/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
物は、少女の
斬撃
(
ざんげき
)
に対応しきれず、
身体
(
からだ
)
に
刃
(
やいば
)
を受け始める。
魔物の間抜けな印象と、少女の素早い反応に出遅れた男性陣も、戦闘に加わる。
マーニャがルカニを唱え、ミネア、ホフマンも攻撃に参加する。
囲まれて、寄ってたかって斬りつけられ、あえなく魔物は沈黙した。
「ちょっと、可哀想だったかな」
「どうせ
殺
(
や
)
るなら同じことだろ。
甚
(
いた
)
振
(
ぶ
)
ったってわけじゃねえんだ」
「本当に来るとは、思いませんでした!」
トルネコが、少女に駆け寄る。
「ユウちゃん!大丈夫?」
「うん。トルネコは?」
「あたしは、大丈夫よ。ユウちゃんのおかげね。ありがとうね。」
「ううん。よかった。」
「ごめんね、ユウちゃん。」
「なにが?」
「あたしたち人間にしてみたら、あたしたちを殺そうとする魔物を倒すのは、当たり前のことだけれどね。それでも、本当は。ユウちゃんみたいな小さな子に、させてはいけないことなのよ。殺す、なんてことも、言わせてはいけないの。」
「わたしは、大丈夫。わたしは、強くならないと、いけないから。魔物と、戦わないと、いけないの。ずっと、戦ってきたから。だから、大丈夫。」
「そうね。あたしたちが守ってあげられたら、いいのだけど。ユウちゃんを守るには、ユウちゃんが強くなれるように、するしかないのね。だけど。それでも。ごめんね、ユウちゃん。」
「大丈夫」
「ユウちゃん。お願いが、あるのだけど。」
「なあに?」
「魔物が、相手でも。死ねとか、殺すとか。そんな言葉は、言わないでほしいの。」
「どうして?」
「それは、相手を憎む言葉だから。倒す必要があったとしても、憎む必要はないのよ。憎しみに
捕
(
と
)
らわれて、心をすり減らしてほしくないの。」
「魔物が、相手でも。」
「ええ。」
「誰が、相手でも?」
「ええ。」
少女は
俯
(
うつむ
)
いて黙り込み、そして振り
絞
(
しぼ
)
るように言葉を
洩
(
も
)
らす。
「……ごめんなさい。でき、ない」
「ユウ、ちゃん。」
「わたしは、魔物が。あのひとが、憎い。魔物全部が、では無いけど。みんなを殺した、みんなを殺そうとする、魔物を。あのひとを。憎まないのは……でき、ない」
「……そう。そう、ね。憎まないでいるのは、難しいわね。でも、やっぱり、約束して。あの言葉は、やっぱり、使わないで。」
「……憎くても?」
「ええ。今、憎まずにいるのは、難しくても。ユウちゃんが幸せになるには、いつまでも、憎しみに捕らわれているべきじゃ、ないの。憎しみを、育ててしまわないように。いつか、
手
(
て
)
放
(
ばな
)
せるように。やっぱり、あの言葉は、使わないで。」
「……使わなければ、いい?」
「ええ。今は、ね。」
「……わかった。すぐ、できるかわからな
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ