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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-16船出(仮)と慕情
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物は、少女の斬撃(ざんげき)に対応しきれず、身体(からだ)(やいば)を受け始める。

 魔物の間抜けな印象と、少女の素早い反応に出遅れた男性陣も、戦闘に加わる。
 マーニャがルカニを唱え、ミネア、ホフマンも攻撃に参加する。

 囲まれて、寄ってたかって斬りつけられ、あえなく魔物は沈黙した。

「ちょっと、可哀想だったかな」
「どうせ()るなら同じことだろ。(いた)()ったってわけじゃねえんだ」
「本当に来るとは、思いませんでした!」

 トルネコが、少女に駆け寄る。

「ユウちゃん!大丈夫?」
「うん。トルネコは?」
「あたしは、大丈夫よ。ユウちゃんのおかげね。ありがとうね。」
「ううん。よかった。」
「ごめんね、ユウちゃん。」
「なにが?」
「あたしたち人間にしてみたら、あたしたちを殺そうとする魔物を倒すのは、当たり前のことだけれどね。それでも、本当は。ユウちゃんみたいな小さな子に、させてはいけないことなのよ。殺す、なんてことも、言わせてはいけないの。」
「わたしは、大丈夫。わたしは、強くならないと、いけないから。魔物と、戦わないと、いけないの。ずっと、戦ってきたから。だから、大丈夫。」
「そうね。あたしたちが守ってあげられたら、いいのだけど。ユウちゃんを守るには、ユウちゃんが強くなれるように、するしかないのね。だけど。それでも。ごめんね、ユウちゃん。」
「大丈夫」
「ユウちゃん。お願いが、あるのだけど。」
「なあに?」
「魔物が、相手でも。死ねとか、殺すとか。そんな言葉は、言わないでほしいの。」
「どうして?」
「それは、相手を憎む言葉だから。倒す必要があったとしても、憎む必要はないのよ。憎しみに()らわれて、心をすり減らしてほしくないの。」
「魔物が、相手でも。」
「ええ。」
「誰が、相手でも?」
「ええ。」

 少女は(うつむ)いて黙り込み、そして振り(しぼ)るように言葉を()らす。

「……ごめんなさい。でき、ない」
「ユウ、ちゃん。」
「わたしは、魔物が。あのひとが、憎い。魔物全部が、では無いけど。みんなを殺した、みんなを殺そうとする、魔物を。あのひとを。憎まないのは……でき、ない」
「……そう。そう、ね。憎まないでいるのは、難しいわね。でも、やっぱり、約束して。あの言葉は、やっぱり、使わないで。」
「……憎くても?」
「ええ。今、憎まずにいるのは、難しくても。ユウちゃんが幸せになるには、いつまでも、憎しみに捕らわれているべきじゃ、ないの。憎しみを、育ててしまわないように。いつか、()(ばな)せるように。やっぱり、あの言葉は、使わないで。」
「……使わなければ、いい?」
「ええ。今は、ね。」
「……わかった。すぐ、できるかわからな
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