第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十二 〜語らい〜
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の」
「……本当に、宜しいのですな?」
「二言はないわ。この曹孟徳の名にかけてね」
「わかった、華琳。だが、これはあくまでも我が軍の軍議。見学は認めるが、一切の口出しは無用に願う」
「ええ、勿論よ。貴方は確か、真名は……」
「ない。姓が土方、名が歳三だ」
「そう。なら、貴方の事も、歳三と呼ばせて貰っていいかしら?」
「好きにするがいい。……皆も良いな?」
愛紗は不服そうだが、それでも頷いた。
「ありがとう。……初めて見る顔もあるわね。改めて名乗りましょう。私は姓が曹、名が操、字は孟徳。陳留太守にして、校尉を務めているわ。春蘭、貴女も自己紹介なさい」
「……は。私は華琳様一の大剣、夏侯元譲だ」
風とねね、疾風も名乗りを上げる。
「ふふ、皆、一癖も二癖もありそうね。これも歳三、貴方の人徳かしら?」
「さて、それはどうかな。では皆、続けようぞ」
「では」
再び、稟は地図の前に立つ。
「陣立ては宜しいですね? 疾風、城内の様子は探れそうですか?」
「いや、警戒がかなり厳しいようだ。普通に忍び込むのは、至難の業だ」
「では、何か手立てを考えるしかないですな。人数もそうですが、将の名ぐらいは調べておくべきですぞ?」
「そうですねー。例えば、盗賊さんに見せかけてとか」
「風。盗賊に見せかけるとは、どういう事だ?」
「はいー。広宗には、今でも追われた盗賊さんが逃げ込んでいますよね? 忍び込むのが無理なら、こんな手はどうかと」
「……なるほど。盗賊に化けて潜入、という訳か」
「愛紗ちゃん、正解なのですよ」
「ただ、必ず上手く行くっちゅう保証はあらへん。やるんやったら、ちゃんと練った方がええな」
「周倉達に扮して貰う、という事か?」
「いえ。同じ手が何度も通じるとは思えませんよ、疾風。それに、やるならば一石二鳥を狙いたいですからね」
ふと、視線を感じた。
華琳が、ジッと私を見ている。
……私が何も言わぬ事を、訝っているらしいな。
今はまだ、議論の最中だ。
口を挟むつもりもない、その必要もない……それだけの事だがな。
軍議は白熱しながら、進んでいく。
と、天幕に誰かが入ってきたようだ。
「……戻った」
「恋か。ご苦労」
「ん。……お前、誰だ?」
警戒を露にする恋にも、華琳は動じる様子もない。
「貴様ぁ、華琳様に向かってお前呼ばわりだと!」
「華琳。これ以上騒ぎ立てるようなら、出て貰いたいのだが」
「……ええ。春蘭、静かになさい。軍議中よ?」
「うう、華琳様ぁ」
はぁ、と華琳は溜息をついてから、
「私は曹孟徳。歳三の許可を貰って、今軍議を見学させて貰ってるの」
「……わかった。恋は、呂布」
「そう、貴女があの飛将軍呂布なのね」
それだけを言うと、華琳は黙り込む。
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