アインクラッド編
月夜の涙と誓い
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「もう・・・・なにも食べられない・・・・動けない・・・・・・」
「食べ過ぎだよ、キリト」
「あんなおいしい料理を大量に作ったサチとアスカが悪い」
と、呆れた視線をぶつけてくるサチに何とか返事をしながら、キリトはベッドにぼすんと仰向けに寝転がる。
現在、丁度日付が変わったところ。
〈月夜の黒猫団〉ホーム2階、サチの部屋。
そこにキリトとサチの二人は寝るため、ではなく、休憩でもなく、避難してきた。
この世界の個室では内部に外部の音が聞こえず、外部には内部の音が聞こえない。
ノックをしてからの数秒、あるいは〈聞き耳スキル〉を上げている物好き―――――と言うより、趣味の悪い奴だけは聞き取ることが可能だが。
2人だけの部屋は静かだが、現実世界なら間違いなく階下の騒音が届いていることだろう。
今、1階のリビングは何と言うべきか・・・・・・取り敢えず、悲惨。
一言で説明すると、ヤバイ。
この世界のお酒に新たに〈酔い〉効果が追加されたとしか思えないテンションで、クラインやエギル達おっさんと〈月夜の黒猫団〉男性陣が、アスカを巻き込んで絶賛宴会中だ。
2人がすごすごと2階へと消え去るのを恨めしそうに見てきていたアスカの顔が印象的だった。
いつも毅然としているアスカがあれほどマキシマム疲れた顔をするのはめずらしい。
「こりゃ今日は徹夜だな・・・・・・」
「あ、あはは・・・・・・・」
2人の乾いた笑い声が虚しく響いた。
既にボス攻略終了から5時間近く経過している。
最後の回転攻撃に一度は戦線が瓦解したが、無事に1名も死者を出すことがないままボス戦は終わった。
30時間以上の苦闘の末に倒したのに、予想通りと言うべきか、やはりボスがドロップしたアイテムと経験値は全然割に合わない量だった。
全員の顔がビミョーになったのは言うまでもない。
頼みの綱のラストアタックボーナスも、残念なことにキリトには使い道のない斧。
仕方ない、とその斧をエギルにきちんと適正価格をもって売り渡し、そのコルを盛大にぶちまけて今日はわたしのおごりだ! と格好つけたのは、ほんの3時間前。
最初はパーティーメンバーだけで行うつもりだったのだが、アスカの手料理がたいそうなる美味という情報を持っているクラインとエギルが厚かましくも参加したいと言ってきた。
キリトとしては、おっさん2人はお断りだったのだが、〈月夜の黒猫団〉のみんなが快くオッケーを出してしまった。
この2人に奢るのは何となくイヤなだけだが。
じゃあ、俺たちも・・・・と〈風林火山〉ギルメンがそろそろと付いてきていたが、これは部屋の許容量的観点から蹴り返した。
「リーダーだけズルイ!」
「そうだそうだ!」
「俺もサチさんと一緒がいいんだ!」
と
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