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Fate/stay night 戦いのはてに残るもの
託される物
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理由が分かったよ」
全てを救える正義の味方などには、恐らくなることは出来ない。切嗣もそれに気付いてなるのを諦めたのかもしれない。
「でもね、僕は二人にそんな正義の味方を目指してほしいとは思わないんだ」
「じゃあ、どんな正義の味方を目指せばいいんだ爺さん?」
切嗣の発言の直ぐ後に、士郎が質問をすると切嗣は俺と士郎の頭を優しく撫でながら答えた。
「大切な人を守れる正義の味方さ」
「「大切な人を守れる正義の味方?」」
士郎と声がハモりながら、俺と士郎は顔を見合わせる。大切な人を守る正義の味方? それって正義の味方と言うのだろうか?
「僕はね、昔正義の味方を目指していたのに、大切な人を守れなかったんだ。助けられず、僕は今でも思い出しただけで凄く辛いんだ」
切嗣は目を瞑り月を見る。表情は穏やかそうに見えるが、内心では後悔で一杯になっているのかもしれない。
「……二人共、だから何があっても大切な人は犠牲にしてはいけない」
目を開け俺と士郎を見る切嗣の目は、かなり真剣なものだ。
「分かった切嗣、俺は大切な人を守れる正義の味方になるよ」
「仕方ないから俺もなってやるよ、大切な人を守れる正義の味方って奴に」
俺と士郎も、切嗣の目を真っ直ぐ見て答える。きっとなってみせると再度心の中で呟きながら。
「そうか、……なら安心だ。二人共ありがとう、本当にありがとう……」
切嗣は俺達の答えを聞くと、優しく微笑み再度目を瞑り出す。だから布団で寝ろって言ってんだろ。
「切嗣、布団で寝ろって何度言わせ……!」
俺は、切嗣の身体に手を触れた瞬間驚愕した。……何だよ? どういうことだよ!?
「どうしたんだ彩雅?」
「切嗣の身体凄く冷たい。おい切嗣!」
身体を揺すっても切嗣は起きない、それどころかそのまま切嗣は倒れてしまった。
「嘘だろ? 切嗣、ふざけてんだろ? なぁ起きてくれよ!」
「爺さん! おい爺さん! 何時ものお遊び何だろ? 本当は起きてるんだろ!」
俺と士郎がいくら叫んでも、切嗣は一行に目を開けない。……切嗣そんなに身体が……。
「爺さん……俺なってみせるからよ。大切な人を守れる正義の味方に」
士郎はその言葉を言った後涙を流した。何故だろうか? 俺の目が霞んでいる。泣いているのだろうか?
よく分からないまま、俺は虎に連絡をした後部屋に戻った。虎も最初は笑っていたが家に来た瞬間唖然とし泣いていた。
後のことを全て士郎と虎に任せて、部屋に戻ってみると。
「何だこれ?」
自分の机の上に小さな袋と、白い封筒が置いてあった。朝にはこんな物なかった筈だが?
袋を無視して封筒を開けてみると、中には手紙が入っていた。
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