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Fate/stay night 戦いのはてに残るもの
託される物
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ら安心だ。久しぶりに士郎のご飯が食べたいな」

ずっと切嗣は笑っている。士郎も笑顔で切嗣を見ているが、俺は一人複雑な表情で切嗣を見ていた。

その日を境に、切嗣は冒険に行くことを止め家にいるようになった。理由を聞いても事実は話さず、士郎と俺の顔が見られないのが寂しいと言っていた。

腕の力のほうも、日に日に少しずつ落ちているようで、切嗣の顔にも若干衰弱ししているあとが見られる。

切嗣には何度も確認したのだが、最近あまり調子がよくないの一点張りで、身体のことは何も教えてはくれない。

切嗣の身体のことを心配しながら、自分の魔術の鍛錬も続けていき、また数年の時が流れた。

「爺さん、そんな所で寝てたら風邪引くぞ」

あの地獄から生還し、早くも五年の月日が流れた。俺も士郎も、家事と魔術の鍛錬を続けていき特に何もなく、楽しい日々が続いていた。

そんなある日、切嗣が月の綺麗な夜に一人で縁側に座っていた。顔は前より衰弱の様子が見え、切嗣自身の存在も弱々しく感じる。

「…………」

「切嗣、風邪引くと俺と士郎に迷惑だから起きてくれ」

士郎の声に反応しなかったので、切嗣に俺からも声を掛けると切嗣は目を開け俺達を見た。

「……? ああ、ごめんね。彩雅に士郎」

「びびらせんなよ、反応しないから死んだかと思っただろ」

「いや、それは流石に言い過ぎだろ彩雅?」

俺と士郎も切嗣の横に腰を下ろし、月を見上げてみる。うん、綺麗な満月だ。

「まだ彩雅と士郎には言ってなかったね」

切嗣が月を見ながら口を開く、声も前より弱々しく感じる。本当に切嗣は大丈夫なのだろうか?

「子供の頃僕はね、正義の味方になりたかったんだ」

切嗣は笑いながら語り出した。昔正義の味方を目指していたと。正義の味方、多くの子供が夢見るヒーロー。子供なら一度は将来なりたいと思うだろう。

「なりたかったんだって、爺さんはその夢を諦めたのかよ?」

「うん、子供の頃は簡単になれると思っていたけど、大人になるとなるのは凄く難しくなってしまっね」

大人になれば、子供のように単純に考えて未来に進むことは、やはり出来なくなるのだろうか?

切嗣はきっと大人になっても、正義の味方を目指そうとしたけれど、色々な壁にぶつかりその夢を断念したのだろう。

「切嗣、正義の味方ってそもそも何なの?」

士郎が切嗣に何か言う前に、俺が切嗣に質問をする。正義の味方、切嗣の言う正義の味方はどんな感じなんだろう?

「難しい質問だね。……そうだな、僕の中の正義の味方はどんな人間でも救える者かな」

切嗣は笑顔で言った。どんな人間も救える人間、それが正義の味方だと。……でもそれは。

「切嗣が、正義の味方を目指して諦めた
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