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翡翠のエンヴレイム
第三話「セイントハウンド」
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ドに問いかけた。

「これはっ!?」
「敵襲だ……!急いでこっちにくるんだ」

 アーノルドと翠は起き上がると、赤いランプが点滅する廊下を走り。大広間の方へと向かった。
 色んなドアから人が出てくる、皆慌ただしく動き回っていて、その中にはアケミと同じ黒いコートを着た者の姿もあった。


 セイントハウンド 本部 大広間


「アーノルドッ!」
 黒いコートに身を包んだ赤髪の少女がアーノルドの名を呼ぶ。アケミだ。
「アケミ、敵は?」
「この真上よ、突然現れやがったのよ!」
「なるほど……ケリー、非戦闘員はB43のルートを通って退避させるんだ」
「畏まりました」

 いつの間にかアーノルドの傍に居た黒髪の女性は懐から通信機のようなものを取り出し非戦闘員の誘導を行った。
 通信機は全非戦闘員が装備している小型通信機と接続されており、ぞろぞろと人が大広間に集まり、B43と呼ばれるルートへと走っていった。

「……」
「さ、新藤君も行くんだ」
「俺もですか?」
「何いってんのよあんた、役立たずはいらないのよ」

「んな……!」

「……!アーノルド、さっさと避難させて、もう来るわ」

 アケミは表情一つ崩さず真上を見つめる、すると爆音と共に大広間の天井に大きな皹が入り、瞬きをした次の瞬間、そこには大きな穴が開いていた。周囲に瓦礫のようなものは無くその空間丸ごと消滅したようだった。

「きたッ!!!」
 アケミが声を上げる。
 翡翠の光が降り注ぐ、目を凝らしてやっと見える程の何かがアケミに襲いかかった。
 彼女は紙一重でそれを回避し、視線を先ほどまで居た場所に移す、どうやらアーノルドと翠は無事な様だった、それを確認するなり彼女は再び視線を天井へと戻し。その姿を捉え眉をしかめた。


 この力は見覚えがある。


「出たな、裏切り者……!!」

 穴から姿を現す青年、フードを深々と被っているため顔は窺えないが、一つだけ彼を判別する術があった。それは。
 左手の甲に輝くのは翡翠のエンヴレイムだ――。

「御剣……清蓮!!」


   続く。

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