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翡翠のエンヴレイム
第三話「セイントハウンド」
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なんて、と。

「これがセイントハウンド、本部よ」



 翡翠のエンヴレイム
   第三話「セイントハウンド」



 エレベーターがゆっくりと地面に着地する。
 機械音を立てて前方のドアが開く、先頭を進むアケミの後を追いながら辺りを見渡す翠。
 大きさは公園の比ではない、東京ドーム何個分とかそういう感じの話だ。
 一体セイントハウンドとは何なのか、そして彼女たちは何の為にここにいるのか。

 消える事のない問い、翠の疑問は増える一方だった。

「じゃ、あとはよろしく」

 歩くこと数分、アケミは見たこともない白い衣服を身に纏った男と数回言葉を交わした後、そんな言葉を残してすたすたとどこかへ歩いて行った。
 翠はというと、その男に連れてかれ大きな建物の中に入っていった。
「あのー、何処に向かってるんでしょうか」
「これから検査を行いますので、検査室です」
「そうですかぁ」
 翠の問いに淡泊に答える男。

 そんな男の後を追いながら長い長い通路を歩いていく、先に見える角を右に曲がりその先にある広い通路の右の部屋へと入る。
 そこには検査用のモノと思われる装置がいくつもあった。

「ではこちらに座ってください」
「わかりましたー」



 ―――――。



 此処ではない何処か。
 世界ではない世界。

 仮面を身に着けた一人の青年が居た。

「……」

 左手の甲には十字架、三日月、翼によって作られた紋章が刻まれている。
 それは緩やかに、鮮やかに、光る。翡翠色の光を。放つ。

 青年の足元には何処かの世界を映す丸い丸い鏡のようなものがあった。
 その鏡には一人の少女が映っていた。

 彼はつぶやく、彼女の名を。

「アケミ……」

 何処か悲しげな、青年の声――。





 一通りの検査を終え一息つく翠、そんな彼の肩を誰かがポン、と叩いた。
 翠は叩かれた肩の方へと顔を向ける。

 そこには少し年老いた外国人が居た、鼻が高く、髪は綺麗な金色。誰がどう見ても外国人だ。
 翠は英語が苦手だった、でも何か挨拶くらいしなくてはいけない。翠は乏しい英語力を捻って精一杯の英語を放った。
「は、はろー」
「君が新藤翠君か、出来立てほやほやの調査書は読ませてもらったよ」
 そんな翠の努力を一蹴するかのように、年老いた外国人はとても綺麗で上手な日本語で翠に話しかけた。

 きょとん、とした顔をする翠。
 つられてきょとん、とする男。

「えっと……どちら様でしょうか……」
「あぁ、そうかそうか、知らなかったか」

 肩に置いた手を離し、一礼。彼は自身の名を述べた。

「私の名はアーノルド・アリリミス、セイントハウン
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