第四十八話
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かった。
「……よォ、お前は国に帰っちまうのか?」
「いや、一度ダーナに行ってからこっちに戻ってきて、それから帰ろうかなってね。 まぁ、ダーナからそのまま帰ってもいいだろうけど、やり残したこともあるからなぁ」
「やり残したこと片づけてから行きゃいいんじゃないか?」
「ん? 俺と別れるのが寂しいって?」
「んな訳あるかー!」
そんな風にじゃれているとクルト王太子がやってきた。
うん、あの時となんか状況が被っているな。
「二人ともおめでとう。 ……ミュアハ王子、主席で卒業させてやれなくて迷惑をかけたな」
「いやいや、殿下のおかげをもちまして卒業の機会をいただけました。 ……それに」
「それに?」
「またスピーチの大役を仰せ仕る名目にもなりませんので、願ったりと申すところで」
互いに苦笑いをしてグラスを一杯傾けると、彼は俺たちの肩を叩いて別の輪の中に入っていった。
「ずいぶん王太子と親しいみたいだな」
「んー? そうか?」
「俺は畏れ多くてブルっちまうよ、あのひとにはさ」
肩をすくめて身震いするレックスを見て俺は笑った。
小突かれたりしながらも、いい縁が出来た、士官学校に来て良かったなって思った。
国元へ手紙を送り、ここで世話になった人たちにお礼と再会を願う挨拶を済ませた。
シルヴィアにはダーナでの仕事が終わったら、必ず会いに来ると伝えた。
きっと彼女は連れて行けとせがむだろうと思ったが、俺の無事を願うと言ってくれた。
ブリギッドは一度ユングヴィへ戻り、海賊時代の仲間を連れて現地で合流する運びだ。
アゼルとレックスと拳を軽く合わせ、別れの挨拶とした。
この日、初顔合わせとなったレイミアとも互いに打ち解けた様子で、二人とも傭兵ってモノとその生き方ってやつに興味津津だったようだ。
シルヴィアと軽く抱擁すると冷やかされたが、そんなの気にしちゃーいない。
彼らに見送られながら、俺とレイミア、それに彼女の部下が一路向かうのは奇跡と伝説が伝承される地、ダーナである……
--6章おわり--
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