霧の森
帰宅
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カズヤSIDE
やっとのことで本拠地まで帰ってきた。三重城からここロスジョセフまで2日かかったんだぞ。馬車でも出してほしかったな。
「ただいまー。」
シーーーン………。
誰もいない、訳はないはずだ。レオがいるはずだが寝ているのだろうか。仕方ない井戸で水でも汲んで浴びるか。
一先ず荷物を自室に置き綿の布(タオルではない。)と着替えを持って家の裏に行く。
「よいしょっと。」
井戸の傍らに置いてあった釣瓶を投げ込み汲み上げ、一杯に入った水を頭からかぶる。
夏が近いにもかかわらず井戸の水はひんやりしており、一瞬鳥肌が立ったが気分は最高である。
「ふうぅ。」
日本みたいに高温多湿ではなくからっとした暑さで居心地はよく、ふんどし一本でも嫌な汗ひとつ掻かない。
しかしそれほど筋肉がついているわけでもないからボディビルダー的なことはできない。トレーニングでもしようかな。けどちょっと休みたいし明日にするか。そういえばセリナはどこ行ったんだろ?
「…ギルドに顔でも出すか。」
篭に入れておいた着替えに手早く着替えてサッと髪を整えて家を出る。
セリナSIDE
ギルドの一角で私は静かに座っている。
カズヤの行方が分からずやる気も出ずただただ座っているだけ。
「セリナさん…。」
「お願い一人にして。」
「……。」
心配してきたギルドの職員の友達を追い払いすでに温かくなりつつあるジュースを口にする。
けどそんなことはどうでもいい。カズヤがいないと調子が出ない。
「ミックスサンドとコーヒーで。」
「かしこまりました。」
カウンターから男の声がする。どこかで聞いたことのあるような懐かしい声が。
視線をテーブルから離しカウンターに目を向ける。ぼさぼさの黒い髪、ヨレヨレのシャツ、飾りっ気のないベルト。間違いない、はず。あれはカズヤだ。
しかしここからではよく見えない。チートで強化された聴覚の恩恵で人の声を長距離でも聞き分けることができるだけ。それにこことカウンターの間を良く人が通りチラチラとしか見えない。
「お待たせしました。」
「ありがとう。」
カズヤと思しき男がこっちに来る。慌てて私は顔を伏せる。……って何やってるんだろ、私。
男は私の脇を通り過ぎ離れていく。
顔を上げて男を探すと向こうの方のテーブルに座っているが、背中を向けているため顔を確認できない。
私は席を立ち彼の座った席から死角になる位置の柱に隠れる。男は向かいに座る優男と巨漢を相手に楽しそうにしゃべっている。
邪魔するのも悪いと思いそこから立ち去ろうとしたとき、不意に男が横を向いた。
「カズヤ……。」
その男は間違いなく自らの
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