暁 〜小説投稿サイト〜
至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十一 〜覇王、見参〜
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
やな?」

 真剣な顔で、霞が言う。

「何がだ?」
「決まっとるやろ。……ウチらが、曹操に会う事や」
「その事か。言った筈だ、これは己の運命を見定めるに必要な事だと。天が、私を必要とせぬのなら、それまでの事」
「……わかった。けど、そんなえげつない神さんやったら、この飛龍偃月刀が黙ってへんけどな」
「霞の言う通り。この愛紗も、閻魔であろうと何であろうと、斬り破ってご覧に入れます」
「では、私は天魔を討ち破る策を、知恵の限りを尽くしましょう」

 私は、黙って頷いた。
 もはや、言葉も要るまい。
 その間に、曹操の陣から、一人の将が出てきた。

「夏侯淵殿か」
「先日は世話になったな、土方殿。では、華琳様のところに案内する」
「ああ、頼む」

 そのまま、夏侯淵に従って陣中へと進む。
 ……ふむ、兵にも女子(おなご)が少なくないようだな。
 だが、一人一人の目つきが、他の官軍とは異なるようだ。
 それに、動きの一つ一つ、無駄がほとんど感じられぬ。
 少なくとも、朱儁や白蓮の軍に比べて、精悍な印象を受ける。
 それに、武器と鎧の充実ぶりも、なかなかのものだ。

「馬は、こちらでお預かりする。他の方々も」

 一際大きな天幕の近くで、下馬を促された。
 尤も、このまま天幕に入る訳には参らぬ故、当然の事ではあるが。

「華琳様。土方殿、張遼殿、関羽殿、それに郭嘉殿をお連れしました」
「入って貰いなさい」

 若い女子(おなご)の声が、返ってくる。

「はっ。どうぞ」

 そして、天幕の中へ。
 中央に居座る、小柄な少女。
 金色の、特徴のある巻き髪が目を引く。
 そして、その隣に立つ将は、警戒心を露わにこちらを見ている。
 ……かなりの遣い手、と見た。
 私は一歩前に出て、礼を取る。

「お初にお目にかかります。拙者、義勇軍を率いる土方と申します」
「私は曹操、字は孟徳。陳留太守を務めているわ。春蘭、貴女も名乗りなさい」
「はっ。私は夏侯惇、字は元譲だ。華琳様の一番の剣だ」

 なるほど、あの夏侯惇か。

「秋蘭は、もういいわね。後ろの三人も、名乗って貰えるかしら?」
「ウチは、董卓軍を任されとる、張遼。字は文遠言いますねん」
「私は、公孫賛軍の客将、関羽。字は雲長です」
「初めまして。私は土方軍にて軍師を務める、郭嘉。字は奉公です」
「そう。皆、いい面構えね、ふふ」

 機嫌良く笑った曹操は、手で座るように促した。

「まずは張遼と関羽。董卓と公孫賛に成り代わっての援軍に感謝するわ。その礼を先にさせて貰うわ」

 見事に、作法に適った礼をする曹操。
 霞は改まってそれに応え、愛紗はややぎこちなくも答礼を返した。

「そして、土方。貴
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ