第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十一 〜覇王、見参〜
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やな?」
真剣な顔で、霞が言う。
「何がだ?」
「決まっとるやろ。……ウチらが、曹操に会う事や」
「その事か。言った筈だ、これは己の運命を見定めるに必要な事だと。天が、私を必要とせぬのなら、それまでの事」
「……わかった。けど、そんなえげつない神さんやったら、この飛龍偃月刀が黙ってへんけどな」
「霞の言う通り。この愛紗も、閻魔であろうと何であろうと、斬り破ってご覧に入れます」
「では、私は天魔を討ち破る策を、知恵の限りを尽くしましょう」
私は、黙って頷いた。
もはや、言葉も要るまい。
その間に、曹操の陣から、一人の将が出てきた。
「夏侯淵殿か」
「先日は世話になったな、土方殿。では、華琳様のところに案内する」
「ああ、頼む」
そのまま、夏侯淵に従って陣中へと進む。
……ふむ、兵にも女子が少なくないようだな。
だが、一人一人の目つきが、他の官軍とは異なるようだ。
それに、動きの一つ一つ、無駄がほとんど感じられぬ。
少なくとも、朱儁や白蓮の軍に比べて、精悍な印象を受ける。
それに、武器と鎧の充実ぶりも、なかなかのものだ。
「馬は、こちらでお預かりする。他の方々も」
一際大きな天幕の近くで、下馬を促された。
尤も、このまま天幕に入る訳には参らぬ故、当然の事ではあるが。
「華琳様。土方殿、張遼殿、関羽殿、それに郭嘉殿をお連れしました」
「入って貰いなさい」
若い女子の声が、返ってくる。
「はっ。どうぞ」
そして、天幕の中へ。
中央に居座る、小柄な少女。
金色の、特徴のある巻き髪が目を引く。
そして、その隣に立つ将は、警戒心を露わにこちらを見ている。
……かなりの遣い手、と見た。
私は一歩前に出て、礼を取る。
「お初にお目にかかります。拙者、義勇軍を率いる土方と申します」
「私は曹操、字は孟徳。陳留太守を務めているわ。春蘭、貴女も名乗りなさい」
「はっ。私は夏侯惇、字は元譲だ。華琳様の一番の剣だ」
なるほど、あの夏侯惇か。
「秋蘭は、もういいわね。後ろの三人も、名乗って貰えるかしら?」
「ウチは、董卓軍を任されとる、張遼。字は文遠言いますねん」
「私は、公孫賛軍の客将、関羽。字は雲長です」
「初めまして。私は土方軍にて軍師を務める、郭嘉。字は奉公です」
「そう。皆、いい面構えね、ふふ」
機嫌良く笑った曹操は、手で座るように促した。
「まずは張遼と関羽。董卓と公孫賛に成り代わっての援軍に感謝するわ。その礼を先にさせて貰うわ」
見事に、作法に適った礼をする曹操。
霞は改まってそれに応え、愛紗はややぎこちなくも答礼を返した。
「そして、土方。貴
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