第二十七話 少年期I
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少年Eで正面から追い込んでいくから!」
「なるほど、体力を削っていくのね」
「なら他のやつらは遊撃になる感じだな」
「……わかった」
『僕は空から状況報告しますねー』
「みんなどうしてそんなにあっさり受け入れられるのさ。ねぇ、僕がおかしいの」
「どうかしたの? 少年B君」
「……ううん。もういいよ」
「ちょッ、てめぇらそれ卑怯だろッ!! 囲みは普通なしに決まって――」
「アーアーきこえなーい」
「聞けェ!! 一人に十数人って反則だろ! 絶対反則だろォォーー!!」
「戦争は数だよ、兄貴!」
後で保護者連中から壮観な眺めだったと言われました。
「待ちやがれ! てめぇだけは絶対にとっ捕まえたらァァアアァァ!!」
「うぉ、速ェ! だが俺だって負けるかァァーー!!」
『うわぁ、デットヒート』
後で公園のちょっとした伝説になったと言われました。
「……本当に俺は何をしていたんだろう」
「でも、楽しかったでしょ?」
「………」
ちらりと視線を向けてみると、諸悪の根源が歯を見せながら笑っていた。あんなに走ったのも、声を出したのも久しぶりだった。こんな風に誰かと遊んだことなんて…初めてだった。
というかあいつら初対面だよな。こいつもあの残念なネーミングセンスで勝手に呼んでいたし、当然本名だって知らない。初対面なのに普通に入り込んで行けるこいつは絶対におかしい。頭のネジが何本か抜けているのだろう。それでも――
『ほんの少しのきっかけで変われるものがあるって信じようよ』
『お疲れー、さっきの競争すごかったな。そういえばエイカで名前合ってる?』
『え…あ、あぁ』
『なぁなぁ、今度遊ぶときはどうやったら速く走れるのか教えてくれよ』
『お、俺が?』
『あっ、私もちょっと気になる。私ね、結構走り込みには自信があったんだよ。追いつかなくてびっくりしちゃった』
『だろ。2人で横から追いかけたのにさ。でも次はエイカのこと捕まえるから覚悟しとけよ』
『ふふ。私も負けずぎらいなんだからね、エイカ』
ただ我武者羅に走っていただけなのに。他のやつらとまともな会話も何もしていなかったのに。一緒に遊びに参加しただけで、こんなものの何が面白いのかってずっと思っていた。そんなくだらないものだったはずなのに。
『うるせぇよ。もし次があっても俺が勝つに決まってるだろ』
「なぁなぁ、エイカ。いっぱい走ったからお腹減らない? 何か食わね」
「はぁ、まだどこか行くのかよ」
「さっきのおにごの最中に見つけたんだ。たい焼き屋で、値段もリーズナブルだった」
「……安いなら行く」
確かにかなり動いたからか、空腹感を強く感じる。こいつの言うたい焼き屋もここから見える位置にあり、意識す
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