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東方守勢録
第五話
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す」


そういって早苗は扉の前に立った。







「扉が開いたら一斉に攻撃を始める」


扉の外では、兵士たちが扉をはさむようにして待機していた。相手が出てくるのを待ち伏せて、一気にしとめるつもりだろう。

対面した状態で攻撃するため、誤射を防ぐためかシールドを持った兵士が先頭にたち、その間から兵士が銃を構えていた。

緊張感が兵士達を包んでいく。

そうこうしていると、扉は音を立てて開いた。同時にロングヘアーの少女が姿を現す。


「攻撃開始!!」


合図とともに、発砲音が廊下を埋め尽くすくらいの轟音を上げ始める。弾丸は一直線に飛び、少女の体全体を捉えようとする。

だが、出てきた少女が倒れることはなかった。


「無意味ですね」

「なっ……」


弾丸は少女にとどくことなくはじかれ続けた。よく見ると、少女の周りに薄い半透明のようなものが浮かび上がっている。誰もが結界をはっていると確信した。

何とか打ち破ろうと銃を打ち続ける。しかし、少女にかすり傷ひとつもつけることなく、マガジンはからになっていった。







「さすが、守矢神社の巫女ですね……」


すべての攻撃を防ぎきった早苗を見て、俊司はそうつぶやいていた。

博麗の巫女とは引けを取らないくらいの実力を持つ早苗。俊司にとってはすごく頼りになる存在だった。


「さて、次は私かな?」


そう言って前に出たのは藍だった。


「お願いします」

「ああ。しかし……少女一人にこれだけの男が……まったく、恥を知れ」


藍はそう言って一枚のカードを取り出す。

兵士達は一瞬でそれを理解し、藍から距離をとり始める。だが、建物の中では逃げる場所など少ない。我先に逃げようと、兵士達はかるいパニックに陥っていた。

そんな兵士を尻目に、藍はカードに念をこめていく。


「逃げるのか? まったく……だが、お前達が容赦しなかったように、私も容赦しないぞ!」


そう言って、藍はカードを発動させた。






行符『八千万枚護摩』




スペルカードの発動とともに、大量の札が高密度の扇型弾幕となって兵士を攻撃し始める。通路が少し狭いこともあってか、弾幕を避ける隙間はほとんど発生していなかった。

当然、日ごろから弾幕を見ておらず、避ける練習などほとんどやっていない兵士達は、弾幕を避けきることなく次々と被弾していった。幸い、藍は殺傷するくらいの威力は出して折らず、被弾した兵士は気を失い、その場に倒れていった。

左右の通路に均等に弾幕を出し続ける。そして、スペルカードの効果が終了した時、その場にいた兵士は全員倒れていた。
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