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東方守勢録
第四話
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男の声が彼女を止めた。


「でっ……ですけど……」

「気持ちはうれしいけどさ、俺達は自分の身を守れない。足でまといになるだけさ。迷惑かけるなら……君達だけで行ってもらうほうがましだよ。そうだよな!」


男が周囲に問いかけると、牢屋の中に入っている捕虜の全員が賛同を返してきた。


「こういうことだ。行ってくれ」

「……すいません」

「誤らなくていいさ。君達は俺らの希望になる。それでいいんだよ」

「…はい」

「えっと……そこの少年もがんばってな」

「はい……行こう」

「うん」


俊司たちは男に必ず助けると約束し、後にするのであった。







監視室を脱出した一同は、見張りの兵士に見つからないようにしながら廊下を歩いていた。


「しかしどうするんだ? このまま脱出するのか?」

「いいや、まず武器保管室に向かうよ。俊司君たちの武器はそこにあるから」

「てきればスペルカードも回収したいわね……あとナイフと」

「確かに。能力と通常弾幕ではすこし心もとないからな」


声のトーンを低くしながら一同は予定を立てる。その際にも注意は怠らなかった。

幸い、見張りの兵士に見つかったりすることなく動くことができ、武器庫の前に着いた時、監視室を出てからあまり時間は経っていなかった。


「……一人いる」

「どうするんだ?」

「これ持ってて」


由莉香は俊司にスタンガンを渡すと、そのまま飛び出して行った。だが、俊司はそんな彼女を引き留めることなく、ただスタンガンを握って何かを待っているようだった。


「なにも言わないで行きましたよ!?」

「大丈夫ですよ。だいたいわかります」

「すごいな……まるで以心伝心じゃないか。私と橙もそれぐらいできれば……」

「……すみましぇん……でも、橙もがんばります!」

「ああ。そうだな橙」


藍はそう言って橙の頭をなでていた。








「あの!助けてください!!」


由莉香は見張りの兵士に駆け寄るなりそう言った。


「どっ……どうしたんだ急に?」

「向こうで兵士の方が倒れてて……」

「なっ……すぐに向かおう。案内してくれ」

「こっちです!」


兵士は何も疑うことなく由莉香についていく。

由莉香は軽く駆け足で兵士の先を進むと、素早く曲がり角を曲がった。その先では俊司がスタンガンを持ってスタンバイをしている。


(後お願い)

(ああ)


一瞬のアイコンタクトが俊司の合図となる。

由莉香が後ろに回ったのを確認すると、俊司は少しずつ見え始めていた兵士に向けて突撃し始め
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