第四十七話
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り恩を売ったり、または圧倒的な優位をクルト王太子側が占めることが出来るのを待つべきか……
ナーガは一対一のような勝負なら圧倒的だが、数撃てば壊れてしまう弱点も孕んでいる。
十一の聖戦士の役目って、結局はロプトウスとナーガが一対一の勝負が出来るようにロプト側の通常戦力を削る、露払いみたいなものだと思う。
「お前さんもよその国のことなのに気苦労が絶えないねぇ」
「グランベルの動向によってはうちのような小国は呑みこまれてしまいますからね、こちらは兄上と父上がしっかり国を固めてくれていますし、世継ぎも生まれたようで安心ですが」
俺もベオウルフも椅子の背もたれに体重をかけて後ろ手に手を組んで頭に乗せ、揺り椅子のようなだらしないことをやっていると
「ミュアハー!」
宿屋に入ってきたシルヴィアは俺の姿を見つけると一目散にやってきた。
素早く椅子から降りた俺は、抱きついて来た彼女を受け止めた。
ベオウルフのにやにやがうざい。
「この街で一週間も前から待っててくれたってベオから聞いたよ。 心配かけたね。ありがと」
「無事でよかったよー、ほんと……」
以前なら人目もはばからず感情の赴くままの彼女であったが、すぐに身体を離して所在なげな様子だったので、俺が椅子を勧めるとそれに掛けてくれた。
先程書きあげた手紙はこのまま渡してしまおうか。
「書き上げたばかりのヴィア宛の手紙だよ。受け取ってくれるかな」
「うん! ありがと!」
「じゃあ、他の皆にも送りたいから二人とも付き合ってよ」
俺たちはいったん宿屋を後にすると手紙を配達人に委ねてから料理屋に向かい、改めて再会を喜び、それぞれの近況を報告し合った。
ベオウルフとの先程の話は繰り返しになったがシルヴィアに伝えた。
彼女のほうからの話を俺は楽しみにしていたが、彼女以外の女性のことばかり聞いたらきっと嫉妬するだろうから押さえておこうか。
そういう訳でヴォルツの事から聞いてみると、彼はリボーに潜入しそこで雇われて、ダーナ攻めの際は戦場で内応するか途中で離脱してリボー軍の内状を知らせる役を担うということだ。ベオウルフも俺達をバーハラまで護衛したあと、その足でリボーへと向かってくれる。ブリギッドはリング卿やアンドレイと感動の再会を迎え、家督はアンドレイが継ぐべきとして自身は自由な立場になったらしい。クロード神父はクルト王子とよく会合を開いていると教えてもらった。
「レイミアのことは聞かなくていいの?」
「どうせ忙しくしていると思うからね。俺と再会したせいで仕事が増えたってボヤいてそうだ」
シルヴィアの言葉にそう言って俺が笑うと、違いない、とベオウルフも苦笑いを浮かべた。
それから翌日
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