二話
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冷笑も無く、言葉にもからかうような調子や適当にいなそうということは無くただ冷たい怒りのみがあった。
「ただでは殺さないわ。あの子の思いを無駄にしようとしているのだから」
襲い来る闇にニーナが思わず目を閉じるが待っても予想した衝撃は来なかった。恐る恐る目を開けると予想もしていなかった状況があった。
金色に輝く童女の姿をした電子精霊・ツェルニがニーナを庇うように浮かんでいた。
「ツェル、ニ……」
「どうしたの、あなたが出てくる必要はないの。戻っていた方がいいわ」
呆然とするニーナとは異なり、ニルフィリアを知る者からすると信じられない程優しくツェルニに語りかける。
いつものように口元は冷たい微笑みで飾られているが他に向けるものとは違いどこか優しく、見つめる瞳には暖かいものが宿っている。
ツェルニはいつもと同じ暖かな笑みを浮かべている。話してはいないが意思の疎通は出来ているようでニルフィリアの独り言のような形で会話が進む。
「あなたがこの子に期待してたのはわかるけど、ここまできて止まるような子は許せないのよ。わかるでしょう、ツェルニ」
ニルフィリアが言い聞かせるように語りかけるがツェルニの微笑みは変わらずニーナの前から動くことも無く、若干の膠着状態が生まれる。
折れたのはニルフィリアの方だった。
一度息を吐き出すと、ツェルニを越えてニーナに話しかける。
「仕方ないわね、もう少し教えてあげる。ディクセリオはこの世界の外に出たわ、でも戻って来た。何のためか分かる、殺して貰うためよ。あなたにね」
愕然とするニーナを無視して更に言葉を続ける。
「あれはディクセリオではないわ、この世界を破壊しようとするヴェルゼンハイムよ。ディクセリオもあいつなりにこの世界を守りたいと思ったのだけれど、この世界の外では物質に限界が無いから倒せないのだけど、この世界なら限界がある。だからディクセリオはあれともう一つになって、あれを倒すために運命が用意した者が待ち構えているここに来たのよ」
ニルフィリアが離している間にツェルニは自分の都市に戻っていった。本来自分の都市から離れられるものではないから当然である。
その時ニルフィリアの闇が素早く動くと背後から迫る蝶を撃墜する。
外力系衝剄の化錬変化、焦羽蝶。
化錬剄の炎を蝶の形に圧縮し、目標に向けて飛ばす剄技だ。
蝶の形をした炎の塊が闇に触れるのと同時に爆発する。爆風とそれによって巻き起こる砂塵に視界を奪われるニーナ、その隣に人が降り立つ気配を感じ振り向くとそこにクララが現れた。
「クララ、どうして……。いやスーツもなしで大丈夫なのか」
「いや、だってニーナが攻撃されてるみたいでしたし。それに何いってるんです、ニーナだって着てないでしょうに」
ぐっと言葉に詰まるニーナに呆れた目
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