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鋼殻のレギオス 勝手に24巻 +α
二話
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ーナ自身一度はメルニスクに飲まれ、暴走して汚染獣を屠った事もある。
「ディクセリオにも廃貴族がいるのは知っているでしょう。ヴェルゼンハイム、強欲都市とディクセリオは言っていたけどね」
 ディックと初めて会った時、バンアレン・デイの夜に狼面衆と戦う事になり、その際にこう名乗ったのを思い出した。

「さあ、強欲都市のディクセリオ・マスケインが相手してやるぜ」

 その時は気のいい先輩という印象しか受けなかったがグレンダンで再会した時、ディックは『強欲』の言葉通りこちらの意思を無視して自分の考えを押し付けてきた。「望むものを差し出せ、さもなくば力ずくで」と。
「普通の廃貴族は都市を滅ぼされたことに苦しみ滅ぼした汚染獣を憎む、だがら武芸者に取り憑いて汚染獣を滅ぼそうとする。でもあれは一歩踏み外したのよ。汚染獣に怒り、自身の苦しみを生み出したこの世界に怒った。この世界があるから苦しむ、だから全てを破壊する、とね」
 この世界を守るはずの電子精霊が世界を破壊しようとしている事に唖然とするニーナ、だがその身の内にいる電子精霊たちはニルフィリアの語る内容に『是』の反応を示している。
「もっとも私はこんな世界に興味も無いからそんな事はどうでもいいのだけど。でも私を牙を剥いたあれは処分するわ」
 それでもニルフィリアに食い下がろうとするニーナに新たな声が響く。外からではなく中から。
『ニーナ、その者の語るようにあれは滅ぼさねばならぬ物。妾達が備えてきた敵、ジルドレイドが蓄えてきた力はあれらと戦うための物なのです』
 電子精霊の生まれる都市にしてニーナの故郷、仙鶯都市シュナイバルの声だ。この時だけのために数多の電子精霊の力を集め、ジルドレイドにそしてニーナに賭けたその姿勢は断固たるものだった。
 ニルフィリアはニーナとシュナイバルとの縁による会話を感じ取っているのか口を挟んでこない。
 ニルフィリアは元より、シュナイバルやニーナの内にいる電子精霊たちも既に決断を下している。未だ決し切れていないのはニーナだけだった。グレンダンで襲われたとはいえ、雷迅を教えてくれた頼りがいのある先輩である。ニーナは覚えていないが、ディックは狼面集にニーナが襲われた時や廃貴族に飲み込まれ暴走した際に(手荒い手段ではあるが)止めたことがある。
 それを見て取ったニルフィリアが動く。自身は一歩も動いていないが、その身から闇が溢れ出しニーナに向けて殺到する。
「あれはツェルニの敵、そしてあなたはあれと戦うための『運命の子』。それでも戦えないというなら……言った筈よ。やり直しも途中で逃げ出すことも許さない、その時には絶望に絶望を塗り固めて殺すと」
 ツェルニが己のエネルギーを使って作った錬金鋼をニルフィリアが渡した際に告げた言葉のままに襲いかかる。
 常に浮かべている嘲笑も
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