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水の国の王は転生者
第九十二話 アルブレヒト戴冠
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も頷いた。

 やがて一行はホークブルク宮殿に到着し、晩餐会に向けトリステインから持ってきた礼服やドレスの着付けに入った。



 ★



 ホークブルク宮殿で行われた晩餐会は豪華の一言だった。

 昼間に戴冠式の様な堅苦しい雰囲気は無く、貴婦人達は色とりどりのドレスに身を包み、男達は着飾った彼女達をダンスに誘うべく勧誘合戦に余念が無い。

 マクシミリアンとカトレアは別室で晩餐会の進行を眺めながら、新皇帝アルブレヒトの歓待を受けていた。

「今日は我が戴冠式にお越し頂き感謝いたします」

「いえいえ、ゲルマニアとの友好の為にも来ない訳にはいきませんでした。ここ数日、ヴィンドボナ市内を見て回りましたが、よく整備された良い都市ですね新しい帝都に相応しいと思います」

「ほほ、そうですか。賢王陛下にお褒め頂くとは、多くの資金と時間を掛けただけの事はありましたか」

 演技上手のマクシミリアンの『おべっか』に、アルブレヒトもご機嫌で先ほどから酒豪のマクシミリアン以上に酒が進んでいた。

 上機嫌のアルブレヒトは、酒の勢いでマクシミリアンに一つの提案を申し出た。

「マクシミリアン陛下。折り入ってお話があるのです」

「お話? 内容にもよりますが、まずは聞きましょう」

「新しく皇帝に選出されたものの、私はまだ結婚していないのです」

「そうだったのですか」

「そこでそろそろ身を固めようと思いまして、是非、ゲルマニアとトリステインの関係強化の為に陛下の妹君を我妻に……」

「アンリエッタを、ですか……?」

 マクシミリアンには寝耳に水だった。
 アンリエッタは今年12歳。『そろそろ』と将来の結婚相手を考えなくも無いが、まだ早いと思わないでもないし、何より可愛い妹を嫁に出さずにもう少し手元において置きたい気分でもある。

「その通りです。二国間の友好が深まれば、お互いの富になりましょう」

「しかし、アンリエッタはまだ12歳になったばかり。少々早い気もします」

 マクシミリアンはお茶を濁す。
 アンリエッタを30過ぎのおっさんの下に送るのはハッキリ言えば嫌だし、ゲルマニア謀略が実を結び、各地で反乱が起こり、諜報局によってもたらされたブランデルブルク辺境伯の反乱の情報を掴んだ現在、政情不安が確実視されるゲルマニアにアンリエッタを送り込めば、万が一にアンリエッタに被害が及ぶという事も在り得る。

 そして、同時にこういう疑念も湧き上がる。
 アルブレヒトがハルケギニアの『権威』の最もたる始祖ブリミルの血を手に入れれば、割と権威に弱い国民を黙らせ政情不安を解消する可能性もあるし、同時にトリステインの王位継承権に口を挟む大義名分も与えてしまう。

(色々と面倒な事にな
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