暁 〜小説投稿サイト〜
気合と根性で生きる者
第四話 勝と十六夜
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さないように目を見開いてその光景を見た。

 力任せのパワーゲーム。技術もクソもあったものじゃない戦いだが、それで元魔王と張り合う――いや、圧倒的に優勢に立つその絶対的な力。

 これを見て、勝は確信した。この逆廻十六夜という男もまた、底の見えない無限のように感じられる強さを持っているのだと。

 今がもし、アルゴールとの戦いの最中でなければ、勝は確実に十六夜に奇襲を仕掛けていただろう。現にいま、アルゴールが倒れるのを心待ちにしているほどだ。

 いつしか、勝の興味は、アルゴールから十六夜へとすり替えられていた。それほどに、十六夜という男の強さの底を知りたいと思ってしまった。

 そしてふと、ある事に気が付いた。

(足が・・・・・・動く?)

 白夜叉の時に覚えた恐怖は、地面に縫い付けているかのごとく、足をまったく動かないほどのものだった。行動を制限するだけの恐怖、あれは本当に最高だったことを、今でも心が、肌が、生存本能そのものが覚えている。

 しかし、十六夜に覚えた恐怖は・・・・・・まだ余裕で足を動かすことが可能なものだった。気合や根性といった類で無理矢理動かさずとも、軽い足取りを描けるほどだ。

 白夜叉と十六夜、両者の恐怖を比較して――勝は、十六夜を奇襲することを考え直した。彼の真価が発揮されていない状態で奇襲を掛けるのはおしい。そう考え、勝は自分の心を落ち着かせるため、一度深呼吸をして頭を冷やす。

(今はまだ、時じゃないけど・・・・・・機会があれば、絶対に――)

 と、そこでアルゴールの保持していたであろう赤い閃光のギフト――世界を石化させるギフトが、十六夜によって踏み砕かれたのが目に入る。

(・・・・・・ギフト破壊? しかも光なのに・・・・・・あり得るのか?)

 怪訝そうな顔をして様子を見るが、見間違いではない。彼は今確かに、アルゴールの石化のギフトを破壊したのだ。

 箱庭に来たばかりなので分からない点はあるが通常、光を砕くなんて事は物理的に不可能である。仮に光を砕きたいのであれば、恐らくその空間ごと砕くしか方法は無いだろう。

(じゃあ、十六夜のギフトは空間破壊系統の能力?)

 しかし、それではあの超人的な身体能力の説明がつかない。いや、仮にその二つがセットなのだとしても――それが全知であるラプラスの紙片≠ノ対して正体不明≠フ結果を出させることが出来るとは到底思えない。

 仮説がいくつも頭の中に浮かんでは消えを繰り返すが、すぐに思考を中断して十六夜の戦いへと集中する。今はそんなことより、十六夜の戦いを見る方が有意義だと考えての行動だ。

 刹那、十六夜が加速しアルゴールとの距離を一瞬で詰めたかと思うと、その巨体の頭部を拳で貫き、そのまま勝の隠れていた場所
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