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剣の丘に花は咲く 
第七章 銀の降臨祭
第四話 貫かれる剣
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「もう……どうしようも、ねえんじゃ」

 物理的な圧力さえ感じさせる程の敵意を殺意を向けられ、流石のデルフリンガーの声も震えている。
 それも仕方がないことだろう。
 四万の敵意。
 四万の殺意。
 これを向けられれば、例えただの鉄の塊である剣であっても、意識があれば、自己があれば、心があれば、ただ震え、惑い、絶望に落ち入るしかない。
 だが、

「……頃合か」  

 それならばこれ(・・)は一体何だ?

 震えることなく。

 迷うことなく。

 絶望することなく。

 目の前に突き立つ黒と白の剣を引き抜く男は。

 目の前に迫る大瀑布の如き軍勢を目にし、決して揺るがぬ意志を見せるこの男は。

「終わらせるぞ」

 躊躇することなく。

 それに飛び込む男は、一体何なのであろうか?


 











「ウオオオオオオオオッ!!」

 汗を撒き散らし、左手にしっかと手綱を握り締め、右手に剣を把持した騎兵隊が雄叫びを上げながら馬を駆る。騎兵隊の先頭にたつ男は雄叫びを上げ、丘の上に立つ男目掛け馬を走らせ、興奮と熱気が入り混じる思考の中、このまま全てを蹂躙できると確信していた。
 視線の先には、丘に突き立つ剣を引き抜く男の姿が。男の思考には、その男が何者かなど関係なかった。目の前に立ちふさがるものがいるならば、ただ蹂躙するだけ。
 例えメイジであろうとも、この距離で騎馬の突撃をどうすることなど出来はしない。
 男は確信を持って、馬を走らせる。

 邪魔だッ!!

 それが男の最後の思考。 
 次の瞬間。
 男は自身の両腕に熱を感じた。
 その源に気付くより先に。
 男の視界に闇が染まり始める。
 意識が遠ざかり。

 闇が男の全てを覆い尽くす直前。

 遥か彼方に、赤い光りが見えた。














 枯れた大地が抉れ。

 砂塵が舞い上がる。

 荒野を踏み砕く音が聞こえた時、そこには何もない。

 ただ、赤い残光が残るのみ。

 切る。

 斬る。

 刃る。

 目の前に立ち塞がる者を切り裂く。

 声を張り上げ走る兵士を斬る。

 馬に騎乗し駆ける騎士を切る。

 魔法を放とうと杖を向けるメイジを刄る。

 誰も彼もが気付かない。

 気付いた時には既に斬られている。

 騎兵隊を壊滅させたナニかは、止まることなく進む。

 それはまるで、熱したナイフでバターを切り裂くかのようで。

 騎兵隊を切り裂いたナニかは、そのまま槍隊に突き進む。

 槍隊を指揮するメイジは、目の前で騎兵隊が馬から吹き
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