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剣の丘に花は咲く 
第七章 銀の降臨祭
第四話 貫かれる剣
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 ……そこには無限の剣が存在し。

 ……しかし一つも本物はない。

 ……荒野に突きたつ剣は墓標の如く。

 ……王の前に跪く騎士の如く……

 赤の世界にて主を待つ。






―― waiting for one's arrival(剣の丘で鉄を鍛つ) ――
 




 いいのかい? 

 もう行ってしまうの?

 何も言わずにいなくなるつもり?

 誰にも知られないままでいいの?

 記録も記憶も残さないつもり?

 それで君にどんなメリットがあるんだ? 

 そんなんで人生楽しいのあんた?

 人助けばっかりして……傷ついて……死にかけて……  




―― I have no regrets.This is the only path(ならば我が生涯に意味は不要ず) ――





 ……ギチギチ……と…………



 ………何処からか…………



 …………………音が聞こえる……



 軋みを上げる音が…………



 …………幾百……幾千ものナニ(・・)かが互いに削り合うような音が…………



 ブツリ、ブツリとナニカを切り裂く音が…………





 …………削られ……切り裂かれ……貫かれ……犯され……侵食される……






―― My whole life was(この体は)――





 欲なく


 意思なく


 望みなく


 希望なく


 絶望なく



 ただ……


 理想のみがある


 故にその者は人に非ず   


 ただ一振りの剣にして……





―― "unlimited blade works" (無限の剣で出来ていた) ――





 無限の剣であった。













「進めッ! 進めッ!! 立ちふさがるものは全て踏みつぶせッ!!」

 総司令官たるホーキンスは、声よ渇れろとばかりに叱咤の声を上げ、四万の軍勢と共に朝露に濡れる草原を駆けていた。
 激流のような四万の軍による進撃の中。この勢いならば、何が立ちふさがろうとも、その全てを蹂躙できると、そう確信を抱いていたホーキンスの声が、

「イケッ!! イケッ!! 決して止まるな! 駆け抜けろ!! このま――ッ?!」

 熱狂に侵された思考と共に凍りついた。

 ……凍りついたのは声だけでなく……全てであった。

 鬣を振り乱し、全力で駆け抜けていた馬も。

 その馬の手綱を握るホーキンスの身体も……。


 ……
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