第七章 銀の降臨祭
第四話 貫かれる剣
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る思考に、かつて聞いた歌が流れる。
―――神の左手ガンダールヴ―――
……そう、かの伝説の使い魔ではないか……
―――勇猛果敢な神の盾―――
……いや、違う……この男は伝説の使い魔でも及ばないだろう……
―――左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる―――
……何せこの男は……万の軍勢をも打倒するのだから……
魔法による絨毯爆撃を、両手に持つ破魔の力を持つ槍と剣によって切り裂いた士郎は、外れた魔法により舞い上がった砂塵が晴れるのに合わせ、メイジの部隊目掛け駆け出した。
先頭に立つ男の腕を右手に握る槍で切り飛ばすと、今だ状況が把握出来ていないメイジの部隊の蹂躙を始める。剣の、槍の間合いに入る端から、杖を握る手を腕ごと切り落とす。
まるで草を刈るように腕を足を切り飛ばす士郎の姿に、メイジたちが蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。士郎は逃げ出すメイジたちの隙間を縫うように駆け抜ける。視線の先には、逃げ惑うメイジたちを何とか立ち直らせようと声を張り上げる指揮官と思しき男の姿。指揮官がこちらに気付き、恐怖に歪んだ顔を見せる。杖を持つ手をこちらに向け始めたが、遅すぎる。
士郎の左手が振るわれ。
デルフリンガーの剣身が杖を握る指揮官の腕を宙に飛ばす。
おまけとばかりに、驚愕に顔を染め上げる指揮官の頭を蹴りつけ昏倒させた士郎が、次の獲物を探すかのように顔を巡らした時、
「相棒ッ! 上だッ!!」
デルフリンガーの警告の声が響き渡る。
促されるまま顔を上げた士郎の視線の先に、竜を駆る騎士の姿が。
六十八騎の竜騎士が迫って来る。
赤く染まる空を飛ぶ六十八の機影。
士郎の強化した視力は、竜がその足に掴む樽の姿を捕えていた。この状況で何かを抱えた竜の姿。士郎の頭にいくつもの考えが同時に浮かぶ。その中で、最もこの状況でありそうな考えに思い至った瞬間。士郎はデルフリンガーを鞘に戻すと同時に、右手に握った槍を今まさに魔法を放とうとしたメイジ目掛け投擲する。投擲された槍は、狙い違わず杖ごとメイジの腕を破壊するが。士郎はその結果を見届けることなく、目的のモノめがけ走り出す。
士郎の走る先には、一つの塊。
それは岩にしては、形が整いすぎていた。
柱にしては、余りにも武威に満ちていた。
だが、武器にしては余りにも巨大すぎた。
しかし、士郎は知っている。
それを振るう英雄の姿を。
まるで小枝のようにそれを振い。
暴風の如く暴れまわるその姿を。
最強の英雄を。
地を蹴り。
柱と見紛う巨大な斧剣の柄を握り締め。
荒野から引き抜く。
肩に鈍い痛みが
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