第七章 銀の降臨祭
第四話 貫かれる剣
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集まっていた。そのメイジの部隊の目の前で、
「っ……ぁ……」
亜人の集団が爆発した。
千人からなるメイジの部隊。その最前衛に位置していた男は、亜人が赤い華になる瞬間を目にしていたにもかかわらず、その出来事を理解出来なかった。後ろにいるだけでも膝が震えるほど恐ろしい亜人の突撃。
亜人の集団を突破してくる敵に向かって魔法を放てとの命令を聞き。最初はこれを突破出来るものなどいはしないと、男は内心で笑っていた。男がいた部隊は、後衛に配置されていたため。男は未だ何が起きているのかを知らなかった。そのため、他のメイジたちが前に行くことを嫌がっているのを見て、臆病者がと笑い、自分から前に配置されにいったのだが。
これは何だ?
空から紅い光りが落ちてきたかと思った瞬間。目の前を走る亜人の集団が臓物を散らし弾けた。むせ返るほどの血の臭いが、三百メイル以上離れたここまで届いてくる。
身体が震え、乾いた歯が鳴る音が五月蝿い。
目の前で起きた出来事を理解できずとも、恐怖は感じている。
赤い荒野の中、更に赤黒く染まった大地の先に、空から男が降りてきた。
「ひッ……ぁ……」
悲鳴が漏れる。
赤い……紅い……緋い……男。
赤い騎士の姿。
それを目にし、悲鳴が上がりかけた時、
「う、撃てッ!! 撃てッ!! 撃ちまくれえええええええぇぇッ!!!」
悲鳴が聞こえた。
いや、悲鳴ではなくそれは命令。
千のメイジからなる大部隊の指揮官が、女のような甲高い声を上げている。
魔法が一斉に放たれた。
背後から、左右から様々な魔法が放たれる。
風が火が水が土が……デタラメに空に放たれる。
向かう先は地に膝をつく騎士。
男も未だ混乱した頭のまま魔法を放つ。
数秒の後、魔法が着弾する。
炎が吹き上がり、砂塵が舞い上がる。
地響きが轟くのを感じながら、男は恐怖に引き攣った顔を奇妙に歪ませた。
何者であろうとも、これだけの魔法による攻撃を受けて無事で済むわけがない。
杖を握る手を、のろのろと下ろしかけた男の手が、
「……な……ぁ……」
ピタリと止まる。
男の視線の先。砂塵が晴れたそこに、槍と長剣を握る騎士の姿が。
「あ、あ……ひぃッ」
目を見開き、湧き上がる恐怖に戦慄く男が、今度こそ悲鳴を上げようとしたが、
「なぁッ?!!」
再度止められた。
止めたのは赤い騎士。
気付けば直ぐ目の前に迫った赤い騎士が、右手に握る槍を振りかぶっていた。
右手に槍を、左手に大剣。
ああ、これではまるで……。
杖を握る右手に激痛が走るのを感じながら、闇に染まる視界の端で、自分の横を駆け抜ける赤い騎士を追う。微かに残
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