第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十 〜使者〜
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ないのか?」
「そうだ。星、鈴々。北平に残り、白蓮と共に烏丸及び賊に備えよ。まだ、情勢は予断を許さぬであろうからな」
「それは理解しますが、この人選について、ご説明いただきたい」
「そうなのだ。理由が知りたいのだ」
理由、か。
……やはり、言うべき事のようだな。
「連れて行く者は、曹操との因縁がある、いや、あったやも知れぬ……それが理由だ」
「因縁とは何ですか、歳三殿?」
「もし、私がこの時代に現れなければ、何らかの形で曹操に仕えていた、あるいは仕える事を望まれた筈だ」
「……そうですね。確かに私は、一時は曹操殿にお仕えすべく、その為に行動していましたから」
「稟ちゃんはそうですけどねー。風達もそうなのですか、お兄さん?」
「そうだ。疾風は韓暹に仕えた後に。霞は月、恋に従った後に。風は自ら出仕し、愛紗は別の人物に仕えている最中に、一時的に曹操に仕える事になる」
「……それが、歳っちの持っとる知識、ちゅう訳か」
「だが、この時代は私の知る世界とは異なるようだ。だから、皆は今こうして、ここにいる」
「ならば、何故わざわざその顔ぶれをお連れになるのですか、ご主人様?」
愛紗の疑問は尤もだろう。
私はゆっくりと頷いてから、
「私は、恐らくはこの世界で、不正規な存在と思っている。それが、この大陸にどのような影響をもたらすのか、定かではない」
「…………」
「だが、それは遅かれ早かれ、見定めねばならぬ事。曹操に縁のある皆を連れて行くのも、その一環と思って欲しい」
「では、もしこの中の誰か、或いは全員が、歳三様の知る世界同様、曹操殿に仕える事になる、と?」
「その可能性も否定はせぬ」
皆を信じておらぬ訳ではないが、それが歴史の必然ならば、従うしかなくなるだろう。
「……主。それが主の決意ならば、我らは止めますまい」
「星ちゃんの言う通りですねー。でも、風はお兄さん以外にお仕えする気はないのですよ。それは、わかっていただけますよね、お兄さん?」
「無論だ。真名を託してくれている者を、私が信じなくてどうする?」
「ならば、私は何も言う事はありません。歳三殿を信じるまでです」
「ウチも。歳っちとか月を見捨てるやなんて、考えたくもないわ」
「よくわからないけど、お兄ちゃんは信じているのだ!」
「……済まぬ。だが、曹操という人物、この先も関わらずにいる事は叶うまい。ならば、私の中で区切りを付けておきたい」
「わかっています、歳三様。皆、あなたに従うと決めたのです。御意のままになされませ」
稟の言葉に、皆が大きく頷いた。
「皆。一つだけ、頼みがある」
白蓮が、改まった口調で言った。
全員の視線を浴びながらも、動じる様子はない。
「今後、私の事は真名で呼んで欲し
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