第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十 〜使者〜
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殿……。ありがとうございます」
その夜。
皆を集めて、今後についての話になった。
「結論から話す。まず、我が軍は、曹操の要請に応じる事にする」
皆、異論はないらしい。
「幸い、討伐した黄巾党の糧秣がある。賊の上前をはねるようだが、この際やむを得まい」
「せやな。冀州がいくら近いちゅうても、流石に晋陽から持ってきた分だけやと心細いしな」
「お腹が空いていたら、鈴々も暴れられないのだ」
「お前は少し食べ過ぎだ。ただ、兵の装備もそうですが、黄巾党から得た物を流用せざるを得ないのは事実でしょう」
「本来なら、奪われた元の民に返すべきなんだが……。今は非常事態だ、そうも言ってられないからな」
白蓮の軍にとっても、糧秣の問題はつきまとう。
特に、今の幽州では、臨時にそれを徴収するだけの余力が、民にないのだ。
強引に行えば、更に事態を悪化させ、黄巾党以外の抵抗勢力を産み出しかねない。
「いずれ、黄巾党が静かになった後で、よき政をして返す他ありませぬな」
「そうですねー。今は、綺麗事を並べられる程、どこも余裕なんてありませんからね」
「では、糧秣の件はその方向で調整します。それから、冀州へ向かう兵数と将ですが……歳三様、どうなさいますか?」
やはり、稟もそこに思い当たっていたか。
白蓮の軍が、此度の作戦に参加となれば、率いるのは当然、白蓮自身となる。
任せられるだけの将が不在、という、如何ともし難い現実があるからな。
だが、烏丸の事を考えると、白蓮が北平を不在にするのはあまり好ましくなかろう。
「愛紗」
「はっ」
「一時的にだが、お前は白蓮の客将という扱いにする」
「ご主人様? どういう事ですか?」
私は、その問いには答えずに、白蓮を見た。
「白蓮。夏侯淵は、白蓮の軍に参戦を要請してきた。そうだな?」
「ああ。それがどうかしたか?」
「ならば、白蓮自身がそれを率いる必要はない。そうは解釈できぬか?」
「私に、此処に残れ、と?」
「そうだ。烏丸の間では、白蓮に対する畏敬の念があろう。一時的とは言え、不在にすれば何が起こるかわからぬ」
「……では、私はその代わり、公孫賛殿の客将という立場で、軍を率いよ。そう、仰せなのですね?」
「うむ。良いか?」
「畏まりました。ご主人様の命とあらば」
本来ならば、これは星に命じたいところなのだが。
「それから霞。軍勢はこのまま、北平に止めておけ。だが、霞自身には、同行して貰いたいのだ」
「ええけど。ウチだけか?」
「いや。稟、風、疾風も参れ」
私の言葉に、星と鈴々が即座に反応する。
「主。私はお呼びではありませぬのか?」
「お兄ちゃんは、鈴々が守るって言ったのだ。でも、一緒じゃ
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