第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十 〜使者〜
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る使者やけど、歳っちが会わなアカンっちゅう訳やないやろ?」
「だが、断る理由もない。主、如何なされますか?」
皆が、私を見る。
答えは……決まっている。
「会おう。断るにも理由がないしな」
「では、警護はお任せ下さい」
「待て、愛紗。お主、抜け駆けするつもりか?」
「そうなのだ! お兄ちゃんを守るのは鈴々の役目なのだ!」
ふう、また始まったか。
「あの、これは一体……?」
疾風(徐晃)一人が、呆然と眺めている。
「ま、すぐに慣れるやろ。それだけ、歳っちは愛されとる、っちゅうこっちゃ」
「は、はぁ……」
ただ、使者の会見に臨むだけなのだが。
私を案じての事だろうが、収拾をつけなくては。
「白蓮」
「何だ?」
「元は白蓮に来た使者、白蓮のところで話すのが筋だろう。どうか?」
「ふむ。確かに歳三の言う通りかもな」
「ウチはどないする?」
「霞は董卓軍を率いてはいるが、形としては援軍の将。今回は外した方が良かろう」
「ウチは構わへんけど。ほな、皆は?」
「いや、二人だけに致す。仮にも曹操の名代として来ているのだ、此方からも代表者だけが出るべきだろう。皆、良いな?」
「御意」
皆が下がり、夏侯淵がやって来た。
やはり、女子か。
一件華奢な身体付きに見えるが、指を見ればわかる。
弓を遣うな、それも相当に。
「義勇軍を指揮する、土方と申します」
「陳留太守、曹操に仕える夏侯淵です。貴殿が、噂の御仁ですか」
「はて、噂とは? 拙者は、微力な義勇軍の一員に過ぎませぬが?」
「ふっ、微力とは謙遜が過ぎましょう。貴殿の働き、我が主も度々耳にしているところです」
「左様でござるか、それは光栄の極み。ところで、拙者に御用とか」
夏侯淵は頷く。
「まず、此度の戦だが、貴殿の義勇軍にも参戦していただきたいのです」
「はて、それは曹操殿のご意向ですかな? 我らは官軍ではなく、あくまでも不正規軍ですぞ?」
「我が主は、そのような事は気にせぬ御方。それに、現にこうして、官軍と共に勇敢な戦いを見せているではないか。そうですな、公孫賛殿?」
「あ、ああ。確かに土方軍がいなければ、私の軍だけでは手を焼いたままだったのは確かだな」
白蓮は、あっさりと自分の力が及ばぬ事を認めてしまう。
だが、裏を返せばそれだけ、信ずるに足る相手、とも言えるのだがな。
「随分と率直に仰せられますな、公孫賛殿は。ですが、あの皇甫嵩将軍や朱儁将軍ですら手を焼く黄巾党、確かに容易い相手ではありません。土方殿、やはり貴殿には是非助勢をいただきたいのです」
「なるほど。ただ、我が軍は董卓軍の支援にて動いています。拙者の一存にて動く訳には参りませぬ」
「
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