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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第1話 黒猫
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荷物を部屋に放り投げたあと、道場の方へ向う。
 少し開いた扉の隙間からこぼれてくる人工的な光と、聞き慣れた声に安堵した。
 中からは「せいっ」だとか、「はっ」という、頑張っているということがハッキリと伝わってくる覇気のある声がしている。私は邪魔してはいけないなと思いつつ中に滑り込むように入った。
「……どうしよ」
 思わずそんな言葉がポツリと漏れる。入ったのはいいものの、本当に、どうすればいいか考えていなかった。
 右手をあてもなくブラブラする、というのを何回か繰り返す。しかし、いつまでもこうしているわけにはいかないので、意を決して口を開いた。
「――――す、スグ?」
「……え、モミ?」
  直ぐに動きを止めたスグが、クルリとした大きめ目をこちらに向けた。そして、数回パチパチと音がしそうな程目を瞬かせ――――ハッとしたような表情になる。
「も、モミが帰って来てるってことは……、て、わぁぁぁ! もう7時!? な、なんで誰も教えてくれなかったの!」
「あ、うーん……。多分、お母さんたち、映画観てるからじゃないかな。忘れてる、とか」
「あの録画してたやつ!?あたし、楽しみにしてたのに!」
 今にも木刀でさえ放り投げそうな勢いで、スグが詰め寄ってきた。その剣幕に私は体がのけぞる。口元が引きつりそうになるのをなんとか堪えながら、両手で軽くスグの体を押し返した。
「……う、うん。あ、じゃあ、私が消さないでって、言ってきてあげるよ」
「うん、お願い! さっさと片付けて、着替えた後そっちに行くから!」
 そう言い終わるや否や、パッと身をひるがえしバタバタと駆けて行った。
「……あ」

 ドタッという盛大な音とともに、こけた。







 スグは一応、私の双子の姉だ。けれど、2人の間では、さほど上だの下だのを気にしていない。
 ――――生まれ落ちた時間の差はほんの数十分。
 違うのはそれだけで、あとは何も変わらない。
 今まで過ごした時間、日々は同じだ。
 だからこそ、姉だとかは意識出来ない。むしろ、そうやって縛りをつけてしまう方が息苦しく感じてしまうかもしれない。
 そんなのことをスグと生真面目に話したことはないけれど、多分、考えは一緒だと思う。
 実際、スグがそのことを言ってきたことはないし。……いや、小さい頃から“姉”なんて単語を使って話しかけたことはないから、当たり前すぎて、思いついてすらいないかもしれない。
 私とスグは、本当に双子なのかと思うほど、性格が見事に正反対だ。スグを“動”と表すなら、私は“静”。
 ……といっても、フォローはしたりされたりで――――特にイタズラをしでかした時なんかは、息はピッタリだ。
 ……うん、やっぱり、私たちは、いくら正反対でも、根は一緒なのかもしれな
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