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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第1話 黒猫
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は笑みを浮かべながら、
「ところで、そのゲームの名前は?」
 そう問われ、足を一旦止め、記憶を探る。たしか、依頼内容が書かれたプリントに、≪仮≫となっていた名前があったはずだ。――――と思いながら記憶を引っ掻き回すと、意外にも早く、引き出しから言葉が出てきた。

「≪ソードアート・オンライン≫、……だったかな」







「じゃあね、紅葉」
「うん」
 私の家の前で、いつも私たちは別れる。幸歌の家は、もう少し歩いた先にあるからだ。
ちなみに、伸一とは少し手前で別れた。
「……ねぇ、幸歌。さっきの黒猫のモンスター、≪ノワール≫って名前、どう?これもフランス語で“黒”って意味なんだけど。――――希望があれば、名前もつけていいんだって」
「黒?」
「うん。……なんか、あの黒猫見てたら、兄さんの好きな色って黒だなーって思って」
 兄さん――――和人のことだ。黒が好きなのか、いつもダーク系の服を着ている。しかも、私の髪の色と同じ漆黒の髪と瞳のせいで相乗効果が働き、“黒”というイメージがどうしても強い。
 そんな理由でいったのだが、幸歌は、なぜかクスクスと笑いだす。
「ほんと、お兄さんっこだねー。今度紹介してよ。顔、かわいいんでしょ」
「それ、本人気にしてるから言わないであげて……」
「あはは、気を付けます。――――えーと、いいんじゃない?かわいいし、おもしろいし」
 私はそれを聞いて、「うん」と頷く。
 そして――――幸歌の左腕を、掴んだ。幸歌がビクリと肩を揺らし、目を見開いている。
 けれど、言うなら今しかないから。少し油断をしていた、今しか。
 私は、彼女の黒い瞳をしっかりと捕え、そして声を潜めていった。
「……さっき、幸歌は“応援してる”って言ってくれた。なら、私は“約束”する。――――私、フランスにあるコンセルヴァトワールに入る。それで、絶対世界一素敵なバレリーナになるよ」
 それに、おじいちゃんが許してくれたんだし、といたずらっぽく付け足すと、いつの間にか真剣な表情になっていた幸歌が口元に笑みを作り、表情が柔らかくなった。
「だから幸歌も、歌やめないでよね。私、幸歌の歌大好きなんだから。……でも、私が独り占めするのにはもったいないからさ。……がんばってよ?」
「……うん。誰かを幸せに出来る唄が歌えるように、頑張る」
 幸歌は、猫を落とさないようにしながら、器用に手袋から手を抜き取る。そして、手袋をしていたのに、氷をさわっているのかと錯覚するほど冷たい指先を、私の指を絡めた。


「「約束」」


 2人の声が合わさったので思わず吹き出すと、幸歌の腕の中にいる猫が、「にゃお」と小さく鳴いた。
 まるで、この猫までもが指切りをしているように。





 私は
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