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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第1話 黒猫
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「そ。伸一に、5体頼んだ。それで、あと1体なんだけど――――」
「へぇ……それは大変。――――あれ?」

 ふいに、幸歌が立ち止まる。私と伸一も釣られて足を止め、何だろうと顔を見合わせる。すると、微かに人の泣き声が――――、ううん、人ではない。
 これは……、猫?
「あ、あれだ!」
 伸一が指差したと思ったら、急に走り出した。私たちも、慌てて追う形で走り出す。
 真っ暗な道には、定期的に街灯があるのだが、その中の一つに、ガムテープで閉ざされた段ボール箱があった。側面には、ありきたりな『拾ってください』の文字。
  鳴き声の発生源は、たしかにこの中だ。
 最初に走り出したのは伸一にもかかわらず、手を伸ばしたのは幸歌だ。……そういえば、伸一は猫が苦手だったような気がする。
「……わぁ、かわいい」
 ガムテープに手をかけ、はがした幸歌が漏らす。私が覗き込むと、そこには――――、

「黒猫」

 ……黒猫。なんて、ふきつな。
 そう思ったのは私だけではなかったらしい。伸一も、少し眉根を寄せている。けれど、幸歌は全く気にしていないようで、
「かわいそうに。こんな、寒いところで」
 風に浚われてしまいそうな程小さい声でそう呟いたかと思うと、ダンボール箱で丸くなる黒猫を抱きかかえて立ち上がった。そして、私たちを見てにっこりと笑う。
「この子、私の家で飼うよ。ちょうど、猫ほしいねって、家族と話していたから」
「……え、でも」
「黒猫って、不幸を呼ぶとか言われてるけど、私は違うと思うんだ。実際、黒い蝶には幸せもらったし。私の名前に“幸”ついてるし」
 ……理由がよくわからない。
 そもそも、黒い蝶なんて……、と思ってしまうけれど、ふわふわと幸歌が笑っているのでどうでもよくなる。
 私は黒猫を指差した。
「じゃあ、名前、“リュヌ”ってどう?“Lune”って書いて、フランス語でそう読むの。“月”って意味だよ」
「月?」

「うん。その子、完全に真っ黒じゃないよ。…ほら、右側のおなかあたり。三日月みたいな白い模様が入ってる」
「ほんとだ」
 幸歌は猫の体を器用にずらし、覗き見る。そして、また笑った。

 ――――その笑顔を見て、ひらめいた。

「あ……。さっきのモンスター案、残りの一体、この子モデルにしようかな」
 ポロリと口から出る。それを聞いた2人は、「え」と小さく声を上げた。私は2人のその反応に、眉を八の字にする。
「……だめ、かな」
「う、ううん。いいと思うよ。てゆうか、嬉しい。……倒されるのは、かわいそうだけど」
 慌てたように片手を左右に振りながら言う幸歌に、あはは、と笑ってから、
「ありがと。さっそく、家に帰ったら頑張るよ」
 そう宣言してから後ろ向きに軽くスキップする。そんな私に、幸歌
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