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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第1話 黒猫
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。体の硬直が嘘のように、すうっと消える。
 ……私の周りには嘘をロウで固めたような人たちばかりだけれど、こうして純粋な好意を向けてくれる人もいるんだ。
 私は、胸がじんわりと温かくなるのをハッキリと感じながら、目の前の人物――――如月幸歌をまじまじとみた。
 幸歌は、笑窪がよく似合う笑顔を浮かべながら、
「って言っても、私もさっきレッスン終わったばかりだよ?」
と、イタズラっぽく言った。
 私は、その笑顔に釣られるようにして笑う。

 幸歌は、私より3つ年上の小学6年生にもかかわらず、対等に接してくれる。親友だと、胸を張ってはっきりと宣言できる存在でもあるだろう。
 彼女は少し前まではバレエ部門にも入っていたので、そのつながりで仲が良くなった。今でこそ声楽部門の方に専念するためバレエはやめてしまっているが、関係が崩れたわけではない。
 むしろつながっている糸が、太く、強くなったようだ。
 そして、今日もいつものように、レッスン終わりで疲れたと悲鳴を上げている体をなだめながら、2人で廊下を歩く。
「幸歌、発表会のやつ、ソロに選ばれたんだって?」
「あーうん。……そうなんだけど、ね……」
 めずらしく歯切れの悪い言葉に、私は首をかしげた。
 幸歌の表情を見れば、眉根を寄せ、どこか困ったような顔をしている。
 しかし、唇を1度ギュッと引き締めると、覚悟を決めました、と言わんばかりの雰囲気で口を開いた。
「実は私、断っちゃった」
「へ……っ、えぇっ!?」
 イタズラを告白するみたいな軽い調子でとんでもない事を告げられ、思わず大声を上げた。廊下で反響し前を歩く人たちが振り返るが、構ってなどいられない。
 ――――全く予想していなかった。
 断るなんて、そんな。あんなに発表会を楽しみにしていたのに!!
 衝撃的な事に口をあんぐりと開け棒立ちしていると、依然として何でもないような涼しい顔をしている幸歌が、早口にまくし立てるような口調でさらなる爆弾を投下する。
「あはは、そんな驚かないでよ。紅葉には話してなかったけど、私来年引っ越すんだ。だから、来年の7月なんてもうここにはいないの」
 ……は?
 続けざまに大爆発が起きて、私の頭が上手く言葉の意味を拾ってくれなくなってしまった。自然と眉間に皺が寄って行き、つい問い詰めるかのようなキツイ物言いと固い声になる。
「ねえ、幸歌。もう一度言ってよ。私、聞こえなかったみたい」
「ええ〜、この距離で聞こえないの? ……もう、仕方がないなぁ。本当は、そんな何度も言いたくないのに」
 幸歌ののんびりとした話し方と柔らかな声音が、今日ほど苛立たしく思ったことはない。……けれど、私を焦れさせていることくらい幸歌なら気付いているだろうに、彼女は決して笑顔を崩さなかった。
 そして、その優
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