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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十三話 唯一無二の決着
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の」

「逃げないでっていってるじゃない!向き合ってよ!十一年間いなかった罰よ!そのくらい一緒にいよう。私達は家族でしょ……」

ベアトリスもそこまで言われてようやく気が付いた。螢の体もすでに限界を迎えていることに。息切れも肉体がとうに限度を超えているから。今尚生きているのとて、カリグラが置き土産だと言って渡した剣があるから。それとてすでに限界であった。腐蝕無しに生きていられるのはあとわずか。殆どベアトリスと変わらない。

「最後まで、何もしてあげれないお義姉ちゃんでごめんね」

「ばか――――――そんなことないよ。ベアトリスは私にとって最高の義姉さんだよ」

抱きしめる。互いに死の先に向かう処は違うかもしれない。それでも最後くらいはともいたかったのだ。だからこそ、奇跡ともいえる出来事はここで起きる。

「ベアトリスは綺麗だよ、今だって螢はかわいい」

「―――戒」「―――兄さん」

「昔から、変わらないと言ったろう。ああ、やっぱり僕を生意気だと思うかい?」

言葉が詰まる。視界が揺らぐ。涙がとめどなく溢れ出していた。

「二人とも、こんな不意打ちってないよ……ずっと言いたかったの。愛してる」

「―――大好き」

その声は幻想だったのかもしれないし、カリグラの能力の残滓が無意識に剣に宿っていたのかもしれない。だが、どんな理由にせよそれは三人にとっては幸福だったのだろう。




******




「アアァアァァアアッ――――――――――――――――――!!??まだ終わってねえぞ、クソがァ!!」

僅かに足りなかったその差は時間の停滞によって完全に覆された。同時に既知が先ほどなどよりもはっきりと鮮明に消えたことも認識したが、それは今気にすべきことではないだろう。結果的にヴィルヘルムは弾丸を喰らい、逆にヴィルヘルムの一撃は完全に躱された。
それでも尚、立ち続け、構え、勢いを劣らせぬのは吸血鬼故の気概か、意地か。彼は自らの周りへと煩雑に、そして狂気的に杭を放ち続ける。

「死ねよ!テメエ等、ぜってえ許さねえ!この俺を、舐めてんじゃねえぞォォォ―――!!」

振るわれる猛攻、まずは埋め尽くすかのように全域を攻撃し、その上で絞り込んで刺し殺す。そう本能的に行動しようとしたヴィルヘルム。だが、その攻撃は当たる様子を見せなかった。そして、

「テメエがそうするだろうってこと位、とっくに予想ついてんだ!何回戦ったと思ってやがる。テメエはもう、俺に知り抜かれてんだよッ!」

ヴィルヘルムの頭上から響く声。そして、それは明らかに勝利を確信したものの声だった。

「あん時の狂犬野郎は失敗してたが、テメエを守る盾はもうねえよなッ!」

「そこかァ!!」

塗り向き、頭上に杭を
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