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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第2話 「愛紗の目が紅く光っているのだ……」
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…(ブルブル)」

 想像したのだろう。
 二人とも青い顔で、ブルブルと震えながら首を振る。

「そんな出来事が自分の命令で行われる。相手には家族もいる、友人もいる……幼い子供や身重の妻だっていたかもしれない。そんな人が自分の命令で死に……ある日、その家族が君を指差して言う。『アンタの命令で私の大事な人が死んだのだ』と」

 俺のその言葉に、立っていられなくなったのだろう。
 鳳統がフラッ、とバランスを崩して倒れかける。

「雛里ちゃん!」
「おっと」

 俺はその背中を支えて、腕に抱く。

「わかるかい? そのつらさが。わかるかい? その悔しさが。それが指揮をする、ということなんだ」

 俺はさらに話を続ける。
 ひどいことを言っている、そう思うが……これが真実だ。

「君たちは、軍師として義勇軍に参加しようとしたのだろう?」
「……はい」
「自分達の知識ならば、義勇軍を導ける、そう思った?」
「……はい」

 やっぱりそうか……なら言わなきゃならんな。

「今のうちに言っておこう……戦場を舐めるなよっ、小娘どもっ!」
「「!!」」

 俺の言葉に――二人が固まった。

「戦うということ……死ぬということは格好良いことなんかじゃあない! 人を傷つけ、傷つけられて、次の瞬間には意思も、志も、なにもかもが塵芥(ちりあくた)に変わる……それが戦場だ!」
「「…………」」
「戦って意思を示す? そんなものは権力者側の言い分だ! 兵士は、民は、命を代償に、その権力者側の言い分を認めさせられる駒になる……それを行おうとしていたのがお前達だ!」
「わ、わたっ」
「……ひっく」
「権力者は等しく加害者だ。そして悪しき存在だ! その真理をわからず漫然(まんぜん)と人を導く? 笑わせるな! 知識なんか、書さえあれば誰でも知ることができる。自分は戦いもせず、ただ人を戦場に送る人間をなんというか知っているか? それは軍師ではない、扇動家というのだ!」
「「ゥッ……ヒック……」」
「自分が死ぬ覚悟もなく、罵倒される覚悟もない、そんな人間が戦場を語るな! 軍師など名乗るな! 語っていいのは死ぬ覚悟と、それでも生きる意思があるものだけだ! それがないなら、戦う人間全てに対する侮辱と知れ!」 
「「う、あああああああああああっ!」」

 二人が号泣しだす。
 うん、俺、悪者です。

「……ごめんな」

 そう一言だけ言って、二人を抱きしめる。
 二人は俺の服――AMスーツを握り締め、大声で泣く。
 信じられるか? 孔明と鳳統が、俺の胸で泣いているんだぜ?

(一刀が見たらどう言うだろうか……いじめんなよ、とか言われそうだ)

 思わず苦笑して、二人をしっかり抱きしめた。




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