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東方守勢録
第二話
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てたりしたのも気づいてるのよ?で、いつごろなの?」

「……」


妖夢は恥ずかしいのか何もしゃべろうとはしない。

ちょっとからかいすぎかと思った幽々子は、仕方なくなだめようとする。だが、それと同時に妖夢が口を開いた。


「わかりません……気付いたら……こっ……このような……気持ち……に……」


そう言って妖夢はさらに顔を赤くしていた。


「あらあら、まさかほんとに言っちゃうなんて」

「ええ!?」


幽々子のまさかの一言に、妖夢は声を上げながら驚いた。


「ちょっと幽々子様!?」

「ごめんごめん。ちょっと無理させちゃったみたいね」

「はう……その……このことは……」

「わかってるわよ。誰にも言わないわ」

「…すいません」


妖夢は半分涙目でそう言った。

からかいすぎたのか、あるいはそれが目的だったのかはわからないが、幽々子はくすくすと笑いながら扇子でぱたぱたと仰いでいた。


「さて、一通り終えたところで……はい」

「えっ?」


幽々子はいきなり懐から丸い何かを取り出すと、妖夢に向けて投げる。


「切りなさい」

「えっ!? っと、せい!」


妖夢は言われるがまま楼観剣を使ってボールを切り落とす。ただ命令通りのことをしただけ。だが妖夢は。


「えっ……」


と言いながら目を丸くしていた。


「うん、いつもの太刀筋ね」

「幽々子……様?」

「あなたが何も考えずに剣を振るように仕向けたのよ」


幽々子はそう言うと、扇子を閉じて説明を始めた。


「あなたの太刀筋には邪心が残っていた。それは彼を助けられなかった自分に対する自信のなさ、そこから来てるんじゃないかなって思ったのよ」

「幽々子様……」

「思い詰め過ぎよ妖夢。もっと楽にしなさいな。そうすれば、おのずと戦える時が来る」

「は……はい!」

「明日から私が軽く稽古をつけてあげるわ。剣についてじゃなくて、戦い方についてね」

「はい! よろしくお願いします」

「あと、恋愛に関することも聞きたい?」

「うぐっ……その……それは……」

「冗談よ。じゃあ、あとは頑張りなさい」


幽々子はそう言ってその場を後にした。





「これでいいわね」

「そうね〜でも、若いっていいわ」


幽々子は妖夢と別れた後、紫と話をしていた。


「幽々子、その言い方まるで」

「あら、私もまだまだ大丈夫よ?」

「ふふっ……なに言ってるんだか」


二人はたわいない会話をしながらお茶を飲みかわす。だが、ずっとこんな話をしているわけでもなかった。


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