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シモン=ボッカネグラ
第一幕その六
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た。
「よし、この件に関しても決定だ。ヴェネツィアには近いうちに艦隊を送り込むことにしよう。規模及び司令官は後程決定する」
「異議なし」
 この件も程無く終了した。
「これで外交は終わりだな。さて、次は内政に関してだが」
 シモンが言葉を続けようとしたその時だった。不意に外で騒ぎが起こった。
「何だ!?」
 一同ハッと騒ぎが起こった方へ顔を向けた。
「フィエスキの広場の方だな」
 それはジェノヴァ市民の憩いの場所の一つである。
 一同バルコニーへ出た。そして広場の方を見る。
「暴動か!?」
 見れば大勢の群集がある一団を追い立てている。
「亡命者の連中か!?誰かが騒ぎを起こしたのか」
「それにしては様子がおかしいぞ」
 彼等はめいめい話し合う。シモンはそれを冷静に見ていた。断を下す為だ。
「待て。暫し様子を見てみよう」
 シモンは彼等に対し言った。
「見たところ群集は平民みたいだな」
 パオロは目を凝らして言った。
「やっつけろ!」
 群集は口々に叫んでその一団を追い立てている。かなり興奮しているようだ。
「おい、あの若い男は」
 ピエトロは追い立てられている一団の中にいる若い男を指差してパオロに囁いた。
「どうした?」
 シモンはそれに気が付いた。ピエトロに尋ねる。
「いえ、あそこにいる若い男ですけど」
 そう言ってシモンにもその若い男を指し示した。
「何だ、あれはガブリエレ=アドルノではないか」
 それはシモンも認めた。何やら剣を振るって興奮した群集から必死に逃げている。
「一体何があったんだ?」
 シモンはそれを見ていぶかしんだ。パオロとピエトロはヒソヒソと話している。
「おい、まずいぞ」
 ピエトロはパオロに対して言った。
「ああ、あの計画が奴にばれたらしいな」
 パオロは横目でガブリエレ達を見ながら言った。
「すぐにこの場から逃げろ。さもないと大変な事になるぞ」
「ああ」
 パオロはピエトロの言葉に従いその場をこっそりと立ち去ろうとする。だがシモンがそれに気付いた。
「パオロ、何処へ行くのだ!?」
「ちょっとトイレへ」
 咄嗟に誤魔化そうとする。だがそれは通用しなかった。
「今この場を離れる事は許さん。悪いが我慢しておいてくれ」
「はい・・・・・・」
 パオロはうなだれてそれに従った。扉は海事審議官達が固めた。彼等仕方なくバルコニーへ戻った。
「貴族共をやっつけろ!」
 群集が叫んだ。
「何っ!」
 それを聞いて貴族出身の議員達の顔色が変わった。
「人民万歳!」
 また群集達が叫んだ。
「また御前等の煽動か!?」
 そう言って平民出身の議員達を睨み付けた。
「面白い、またそうやって言い掛かりをつける気か」
 平民の議員達もそれに対して黙っては
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