第72話 =現実のひと時=
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
あのあとログアウトボタンまでウィンドウを流れるように開いて現実へ帰還したあとナーヴギアを外してから再度ベッドに倒れてそのまま眠った。そして
――――――――――――
「ピャーーーーーッッ!!?」
「……んぁ?」
と、突然の悲鳴が聞こえ、それがいい目覚ましになり俺は目を覚ました。だが完全に目が覚めたわけではないので寝ぼけ眼で窓を開け下を見ると直葉が首元を押さえうずくまっている。
「……どうした?」
「お、おはよー…陸也……聞いてよ、お兄ちゃんがー」
と、直葉がぶんぶんと腕を振って説明してくれる。どうやら昨晩、キリトがリーファにやられた雪の塊背中に入れるという行いを直葉にやってしまったらしい。水道管ごと水が凍ってしまうんじゃないかという季節、それなのに無防備な背中に水滴は苦行でしかない。当然、直葉にもそれは苦行であんな声がでてしまった…というわけだ。
「アハハ……」
もう苦笑いしか出来ない。とにかく、目を覚ますために冷たい空気の入ってくる窓を閉め中で顔を洗う。あいつみたいに冷たいので無理やり目を覚ますのは急いでるときにしかしたくないのでぬるめのお湯でバシャバシャと。和人と直葉の親である翠さんは仕事のせいか深夜に帰宅したらしくまだ寝ているのでそのままにしておこう。直葉はいつものトレーニング、和人も今日もそれに付き合っているらしい。俺もトレーニングするべき……なんだけど本音を言ってしまえばそこまでの余裕が無い…。
「…メールきてた…美菜実からか」
軽く画面をタッチし内容を見ると『昨日はお疲れ様、今日もガンバロー!』と絵文字やら顔文字やらでコーティングされたいかにも女子らしいものが一通。今日もってことは世界樹攻略も手伝ってくれるのか…?
「昨日は本当にありがとう、めちゃくちゃ助かった……っと」
呟きながら本文を打ち、送信すると数分もせずに生まれた意味を知るRPGの主題歌が着メロとして流れる。返信の速さに驚きながら内容を見ると2、3行でいろいろとあったが最後、4つくらい改行をして『早くちゃんとこっちに帰って試合やろっ?』という一文が。…そんなわかりやすかったかな、俺って。
「ありがと……とりあえず…朝飯だな」
感謝を口に出して、ケータイをしまう。とりあえず、サラダやらなんやらを適当に作っておくか。
―――――――――――
朝食をいろいろと作っていると扉の開く音がしてそこから和人と直葉がテクテクと歩いてくる。直葉のほうはいまだに膨れていたが「好きなもの奢ってやる」という和人の太っ腹発言に宇治金時ラズベリークリームパフェなるものを頼んでいた。なにそれちょっと食べてみたい…と興味も涌いたが値段が値段なのか引きつった笑顔で和人はOKを出していた。
「そういえば、今日は
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ